idematsu-qのブログ

屋根のない学校をつくろう

雪の大晦日

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雪の朝。玄関前のたたきで七輪に火をおこそう(撮影・イデちゃん)

 数年に1度といわれる大寒波の襲来だ。首相がテレビで「気をつけてください」と繰り返している。愛車のタイヤをスタッドレスに履き替えるためにガソリンスタンドに行った。

「このサイズのタイヤは置いていません。取り寄せになりますが年内は無理です」

「じゃ、タイヤチェーンはありますか」

「この車にチェーンつけて走るんですか?止めた方がいいですよ」

 私の車を見ながら、スタッフの若者は呆れ顔で言った。

 

 仕方がないので長男の車をスタッドレスに履き替えさせ、それを借りることにした。長野は、高速道路も市街地も雪なしのカラカラ。予報と違うじゃないかと思っていたら、夕方から降り始めた。朝になったら外は10cmを超える雪だった。先日起きた関越自動車道の大渋滞をふと思い出した。足元が十分でないまま出かけてしまった何台かがつまずいて、後ろが滞ってしまったのではないだろうか。朝の雪を見て車を換えておいてよかったと思った。

 

 例年は親子三代12人が長野に集まってにぎやかな年取りも、今年は妻と二人だけ。それでも新年の準備と重なって結構手間暇のかかる仕事が多い。雪で庭に出られないので、玄関前のたたきで七輪に火を起こす。堅炭と格闘し、いい塩梅の火加減になったら煮物の鍋を置く。いつもなら遅れて起きてきた孫たちが、金網の上で炭火に炙られてふくれあがった餅を「熱い、熱い」と頬張っていた。今年は、その姿がない。炭のはぜる音ばかりが聞こえる。

 

 今年は新型コロナウィルスのために、これまで当たり前だと思っていたことができなくなった。突然学校が休校になったり、「リモート・ワーク」という在宅勤務になったりした。同じ時間に同じ空間を共有し、相手の視線や息遣いを感じながら過ごすことが困難な生活は来年も続くのだろうか。

 

 そろそろ日が落ち、2020年が終わろうとしている。今年は50年間続けた教育の仕事に終止符を打ち、4月から「サンデー毎日」の日々だった。職務上の義務や責任から解放され、時間や予定に縛られない生活は快適至極で、煩わしい浮世の付き合いもなくなった。そこにコロナ禍が加わり、私は「新しい生活様式」と「これからの課題」を教えられた。

 

 夕方までにブログの原稿を送れとミナさんから催促がきた。玄関先の七輪の残り火で年越し魚の寒鰤を焼き、熱燗を用意して「お年取り」といこうか。英気を養って、新しい年は世の中に尽くして生きることにする。(イデちゃん)