idematsu-qのブログ

屋根のない学校をつくろう

どこかで誰かが見ていてくれる

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今は亡き母にもらった万年青。20年目にして実をつけた(撮影マツミナ)

 

 「5万回斬られた男」で知られる俳優、福本清三さんが亡くなりました。初めて見たのは、小学生の頃でした。『水戸黄門』で目の周りを黒く塗り、いかにも悪役という面構え。大詰めを前に、助さんか角さんに斬られ、背中からバタンと倒れていました。その豪快な倒れっぷりに驚いたことを今でも覚えています。痛いだろうなあ、何でこんなことができるんだろうなあ。

 2013年に読売新聞記者としてインタビューした時、その質問を福本さんにぶつけました。

 「もちろん、痛いですよ」

 淡々と答えてくれました。それでも躊躇なく倒れるのだそうです。福本さんの本のタイトルではないけれど、どこかで誰かが見ていてくれるから。テレビを見てくれる人たちのために、会ったこともない人たちに楽しんでもらうために。

 

 待つことが大事だとはわかっています。頭では。でも「どうせダメですから。私のことは放っておいてください」という学生を待ったら、何がどうなるのでしょうか。

 そんなことをつらつらと考えていたら、先ほどその学生からメールが来ました。書き直すよう求めていた「入学前教育」のチラシとともに。締め切りに間に合わなかったことへのお詫びと、添削へのお礼、そして「やり切らせてくれてありがとうございました」という感謝の言葉とを連ねて。

 イデちゃんは書いていましたね。「彼なら大丈夫」と。見守っていたこと、ヤキモキしながらも待っていることが伝わっていたようです。

 どこかで誰かが見ているということが、自信と意欲につながるのかもしれません。(マツミナ)