idematsu-qのブログ

屋根のない学校をつくろう

お母さんからの手紙

 

 

 

 

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手をつないで歩ける時期は、とても短い(撮影・マツミナ)


「おたんじょうびおめでとう おかあさん」いい写真ですね。お母さん喜んでいますよ。

 お母さんになってもお母さんはお母さん。あなたはどんな子だったのかな。

 私は職業柄、教え子の母親から手紙をよくもらいました。心に残った何通かは今も手元に置いてあります。これは40年ほど前、小学校4年生を担任していた時に届いた手紙です。一部を紹介します。

 

『一学期末の学級懇談会が終わり、校門を出る時から、ずっと反省とも憂鬱とも何とも言いようのない気分でいっぱいでした。というのは、自分の子の欠点を、同じクラスのお母さん方の前でペラペラとしゃべってしまい、確かにそれは全て事実ではあったけれど、母親として子どもに申しわけないと思ったからでした。

 自分の愛する子どものことなのに。我が子の良い所は、誰よりもこの私が一番よく知っているはずなのに。欠点だけがその子の全てであるかのように話していた自分が恥ずかしくて、子どもに申しわけないという気持ちが胸の中に広がっていきました。……』

 

「かくあれかし」と願う子ども像からすれば、我が子は欠点ばかり目につくものです。よさを見過ごして、悪いところばかりをあげつらった自分を情けないと思ったことでしょう。我が子をいとおしむ母親の複雑で愛情深い親心が切々と伝わってきます。すてきなお母さんです。

 

 前回、「親子の間に適度な緊張関係がなくなったような気がする」と書きましたが「適度」の尺度には関係の軽重だけでなく「質」も含みます。だから「適度で良質な」緊張関係といった方がいいかもしれません。「小1対策直前ゼミ」のビルの前で出会った母と子からは、質の良い緊張感を感じることができなかったのです。

 ミナさんが指摘する通り、緊張関係がなくなったのは親子の間だけではありません。摩擦や葛藤を厭い、心地よい関係を好む学生が多いと聞きます。親子とか兄弟姉妹とか日常の生活の中で生まれる身近な関わりを通して適度で良質な緊張関係が少なく、小さい時から競争を強いられ、上か下か、優か劣かといった関係に疲れてしまったら、厳しい現実社会との緊張した関係はごめん被りたいのでしょうね。

 

 「ほらー、何やってんの。しっかりしなさいよ。世の中甘くないよ」って発破かけましょうか。(イデちゃん)