idematsu-qのブログ

屋根のない学校をつくろう

職種の研究と選択

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パソコンの中は石油コンビナートのようだ(イデちゃん)

  始末に困って部屋の隅に積み上げておいた古いコンピュータを片付けようと思い立ちました。でも、業者に引き取ってもらうと結構な手数料がかかります。そこでパーツに分解して処分することにしました。

 カバーを外し中から基盤を取り出しました。プリントされた配線の上に色々な形の小さな電子部品が整然と並べられています。精緻に計算して作りあげた芸術作品のような美しさです。斜め上から見ると湾岸に作られた石油コンビナートのようにも見えます。コンデンサーは備蓄タンク、電磁コイルは発電機、縦横に走る配線はパイプライン、バッテリーは管理棟、小さな部品は駐車場に置かれた車のようです。小さな基盤の上に様々なイメージが広がります。もったいないので歳暮にいただいた桐の小箱に入れてとっておくことにしました。

 

  小さい頃から物を作ることが好きでした。職人が使ういい道具が欲しくて父に頼み、知り合いの大工さんが使い込んだ鉋やノコギリを譲ってもらいました。もちろん、将来の夢は大工さんでした。

 今は作ることより、壊すことの面白さに取り憑かれ、夢中になっています。今日は動かなくなったCDプレーヤーを分解しようと思います。

 

 学生の「職種の研究」。現場で働く人たちからの厳しい評価に、学生はぐうの音も出なかったとのこと。

 就職してからミスマッチに気付き、早々に転職する若者が多いと聞きます。「企業にはどんな職種があるかを知らず、どんな仕事をしたいのかすらも考えずに」受かりそうな企業や職種を探して「闇雲に就職活動」をするスタイルは、「何をしたいのか、何を学びたいのか」より「受かりそうな大学や学部」を優先して選択する大学受験とよく似ています。「こんなはずではなかった」という思いの中には、働くことの厳しさや職場の人間関係の難しさ等様々な要素があり、職種へ理解不足ばかりではないとは思いますが、気になる傾向です。

 

 「進路指導は, 生徒が自らの生き方を考え、将来に対する目的意識を持ち、自らの意志と責任で進路を選択決定する能力・態度を身に付けることができるよう、指導・援助することある。」(「キャリア教育の推進に関する総合的調査研究協力者会議報告書~児童生徒一人一人の勤労観,職業観を育てるために~」平成16年)とはいっても、生き方や将来に対する目的意識を早くから自覚し、自らの意志と責任で進路を選択決定することは容易ではありません。成長につれて夢や希望は変わります。初めはその内容も方向性も未分化で漠然とした欲求や期待であったものが、学習や体験等を通して少しずつ具体的なものになっていきますが、それとて確定したものではありません。大学選択の延長線上に就きたい職業・職種を描くことができる学生は多くはないでしょう。私は小さい頃なりたかった「大工さん」ではなく、大学卒業直前に教員になることを選びました。

 

 「ここで落ち込んだり、もう終わったからと放り出したりしたら、もったいない。伸びしろいっぱいの人たち」に人生の先輩たちの応援を。及ばずながら私も付き合います。(イデちゃん)