idematsu-qのブログ

屋根のない学校をつくろう

議論に時間をかけるのは悪いことか

 

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大あくび。人間界のドタバタに関心はないようだ(撮影・マツミナ)


 今日は日曜日だというのに、午前8時半からClass Qの学生たちを呼び出し、Zoomで話し合いをしました。議題は、数日後に迫る入学準備教育の日程や態勢の見直し。予想を上回る78人もの高校生が参加を希望してくれたためです。 

 Zoomだから、一方的な講義であればどれほどの人数でもなんとかなります。ただ今回は、大学と高校の学びはどう違うのかや、質問することで自分の何が変わるのかなど、高校生と学生がやりとりを重ねて考える場。少人数の方が目的にかなっています。

 そこで、当初予定していた毎週金曜日15時~16時半の1クラスに、同じ日の13時~14時半を加え、2クラスにする案を代替案として示しました。同じ日ならば、それほど学生の負担になる時間ではないと考えての案です。難なく学生の了承を得て、週明けには高校生に通知を出せるとみていました。

 結論から言うと、この案は学生に否決されました。

 「高校3年でもまだ授業があるかもしれないから、13時は難しいのではないか」「遅い時間の方が融通がきくのでないか」――学生は「高校生の都合を優先させたい」と考えたのです。それでも参加しにくいようなら、再度日程調整した方がいいのではないか、という意見までありました。

 「自分以外の誰かになりきって」質問するのが、Class Qでの学びの第一歩。視点を変えてものを考える「視点転換」に、学生は毎度「難しい」と悲鳴をあげていました。でも、いつの間にやら、会ったことのない、名前も知らない高校生の生活を想像し、配慮していたのです。

 今日実感できた学生の成長は、それだけではありません。

 ほとんどの学生が他人の前で発言することを恐れていました。目立ちたくない、みんなと違うことを言いたくないなど様々な不安が根底にあります。もちろん、議論も苦手でした。異なる意見が出てきたら、どう対処したらいいのかが分からないからです。

 その学生が私の案に疑問を呈し、高校生が参加しやすい場を設けたいという思いを吐露して、代替案も出せるようになっていました。予定では30分で終了するはずのミーティングが20分もオーバーしましたが、日曜日の朝にふさわしい、すてきな時間になりました。

 

 「女性がいる理事会は時間がかかる」などと暴言を吐いたオジサンは、想像力が欠如しているというイデちゃんの指摘に賛成です。この発言がどれほど人に不快感を与えるか、自分の立場で発言したらどんな波紋が広がるか、全く想像できないのでしょうね。

 ひょっとしたら、このオジサンは議論をしてこなかったのではないでしょうか。国の未来を考え、議論する立場なのに。はじめから結論ありきの会議だけで今日までやってこれた。その結果、議論に時間をかけるのは悪いことだ、という思い込みを持ったのかもしれません。そうした大人の姿を当たり前と思わない、想像力たくましい次世代を育てないといけませんね。(マツミナ)