idematsu-qのブログ

屋根のない学校をつくろう

岐路に立つ大学教育

 

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高校生の課題を添削して得た気づきを共有する(マツミナ)

 「2年後に90%の確率で壊れる400万円の商品」の正体が大学教育――。そうなると今春は大学にとって正念場です。オンラインと対面をどうミックスさせ、学生が成長のきっかけをつかめる場にするか、どの大学も頭を悩ませているからです。 

 コロナ禍の1年、大学はオンライン授業を余儀なくされました。「パソコンにカメラとマイクがついてたんだ~」状態の教員たちが恐る恐る授業を作り始めました。大雑把にいうと、録画配信型(オンデマンド)と同時双方向型の2タイプでした。そこに加わるのが「ハイフレックス型」。対面授業を生中継し、教室外の学生も同時に参加できるシステムです。パソコンからスライド資料を見せ、そのほかにカメラも用意すれば板書も撮影できます。教室には学生たちがいるから教室の雰囲気もバッチリ。キャンパス外にいながら大学の雰囲気も味わえる、感染予防の観点からも良さそうですよね。

 問題はここからです。多くの大学では機材費用は教員負担。カメラの切り替えなどは全て教員が行います。機器操作をしてくれる助手はいません。目の前の学生だけでなくオンラインで繋がっている学生の反応も頭に入れ、機器の操作を行いつつ授業を進めます。「八面六臂」の活躍です。大学貸し出しの機器や、機器が配備された教室もありますが、いずれも数に制限があります。大学が「必要度」を見極めて配分することになるのでしょう。

 中でも問題なのは、学生同士のオンラインを通したつながりは、現状ではNGです。大学のインターネット環境は脆弱ですから、教室にいる学生全員がパソコンを開いて外の学生とつながろうとしたらパンクしてしまうからです。成長のきっかけという観点から、学生同士の切磋琢磨の機会が損なわれるのは大問題です。

 

 2月26日に行った「入学前Class Q」もまさに「ハイフレックス型」。教室とオンラインで学生と高校生がつながりました。イヤホンをしない学生がいると音声がハウリングして聞き取れなくなるハプニングが数回おきました。ハードルを超えながら、学生と高校生たちは対話を重ねていました。そう違わない年齢なのに、考え方が違うことを知るのです。例えば「質問すると○◯◯◯◯◯」に文字を当てはめてもらいました。質問すると「思想がわかる」「世界が広がる」「ワクワクする」「何かが起こる」…。正解があるわけではなく、そこにあるのは多様な発想だけです。

 400万円で90%の確率で壊れる商品をこのまま売り続けるのか。大学教育はまさに岐路に立たされていると実感しています。(マツミナ)