idematsu-qのブログ

屋根のない学校をつくろう

ラスボスは誰か

f:id:Question-lab:20210306200213j:plain

カワセミ❤️ でも、これ以上近づけない(マツミナ)


 スマホを使用する時間が1週間平均8時間超の学生は、なんと約1時間にまで短縮することができました。「やればできるんです」と鼻高々にスクリーンタイムの時間を見せてくれました。

 学生は私のことを「ラスボス」と認識しているとか。だから私に何か言われると迎撃スイッチを入れ、こちらの鼻をあかすために必死になるのだそうです。ともあれ、頑張ったね。

 

 スマホに奪われた時間を取り戻し、立ち止まって思考する習慣をつけてもらわなくてはいけません。一刻も早く。

 先日も入学前Class Qで息を飲む場面がありました。授業では毎回、高校生に大学に親近感を持ってもらうため、学生たちが趣向を凝らしています。その日は、ある物語の登場人物のうち「間違った行動をとったのは誰か」を話し合うゲームでした。

 物語の舞台はケーキ屋。登場人物はオーナー、店長、店員リーダー、店員の4人。クリスマスケーキの生産量をめぐって4人の意見は異なる。オーナーは、ケーキ生産量は例年並み、もし増産して売れ残ったら天引きするとまで言及した。これに対して店長は今年こそ売れると主張。店員リーダーも販売に力を入れれば大丈夫、と胸をたたく。店員は天引きが怖いから嫌だと反対する。結局、店長の主張通り増産したものの、大量に売れ残り。その損失分は店員の給料から天引きされた。オーナーは気の毒がって、こっそり天引き分と同額を店員に渡した――こんな顛末です。

 「社会には正解がない問題ばかりです」と学生は高校生に説明していました。この物語はその一例だ、とも。

 いや、ちょっと待って。損失分を給料から天引きすることは、労働基準法違反だよ。しまった、事前にチェックすべきだったと後悔しました。

 授業後に物語の出どころを聞いて、後悔はさらに深くなりました。ネットで見つけ、「これ面白い」と飛びついてしまったそうです。 

 「鵜呑みにしない」。授業ではたびたび学生にそう伝えてきました。日頃の姿を見る限り、学生もしっかり読み込んで調べる習慣を身につけつつあると楽観していました。

 次の授業時に、学生は画面を通して「お詫びと訂正」を高校生たちに伝えていました。その姿を前に、Class Qはこれからどう戦っていくべきかを改めて考えていました。

 もっともらしい情報を簡単に引き寄せてくれるスマホを手に、私たちはどうなりたいか。「一億総白痴化」はごめんです。(マツミナ)