就職偏差値
長屋のご隠居さんに言わせると、#教師のバトン は無粋なのですね。
「教師のバトンなんて名前からして粋じゃないねえ。真ん中が抜けていても竹輪は食えるけど、バトンなんて食えやしねえ」(長屋の隠居)
その通りです。先生たちも、食えないバトンでは、なかなか若い人たちに渡せませんね。「就職偏差値」を気にする学生たちのことです。渡そうったって、受け取らないかもしれません。
「就職偏差値」という言葉を最初に聞いたのは、いつだったか。東京都内のある大学のキャンパスで耳にしました。学生同士が、その場にいない仲間の噂話をしていました。
「あいつ、△△テレビだってよ」
「やべえ、就職偏差値高っ」
初めて耳にした言葉を放置できず、つい会話に割り込み、解説を求めました。一部上場の有名企業、上場していなくてもマスコミやメディア露出度の高い企業は「就職偏差値が高い」と教えてくれました。
以来、あちこちで学生の会話に聞き耳を立てているうちに、この言葉が結構な頻度で使われている割には、中身がない、イメージの域を出ていないことがわかりました。例えば、「就職偏差値が高い=いい企業」「低い企業=ブラック」といった具合です。
実態と合っていないことを示す一例が今年3月、報じられていました。米ゴールドマン・サックスの実態調査で、入社1年目のアナリストの勤務時間が平均週95時間を超えていたことがわかったそうです。CNNによると、毎日の睡眠時間は5時間で、中には食事もせず、シャワーを浴びることもできず、朝から真夜中まで仕事をしていた人もいたということです(CNN 3月19日)。
ゴールドマン・サックスは金融大手の超有名企業ですから、学生に言わせたら「偏差値がチョー高い」はず。こんな状態でも「いい企業」と言えるのか。それなら、日本の学校現場も「いい職場」ですね。
偏差値は母集団の中での位置にすぎません。模擬試験の結果の「偏差値」ならわかるけれど、就職偏差値はさて。夢かうつつかもわからない幻想に惑わされず、労働条件や福利厚生に目を凝らして選んできてほしいと願っています。食えないバトンじゃ困りますから。(マツミナ)