idematsu-qのブログ

屋根のない学校をつくろう

文科省文書を添削する

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おしゃれな器。四隅のクリームをすくいきれず、悔し涙…(マツミナ)


 今日は、文科省文書の読み解きに結構な時間を費やしました。その結果、妙に頭が痛くなりました。一つの文章が長いため、意味をつかみにくいのです。

 例えば、萩生田大臣が3月12日、中央教育審議会に出した諮問「『令和の日本型学校教育』を担う教師の養成・採用・研修等の在り方について」。難解です。

 

 〈教師に求められる資質能力については,これまでの中央教育審議会における答申においても,使命感や責任感,教育的愛情,教科や教職に関する専門的知識,実践的指導力,総合的人間力,コミュニケーション能力等が挙げられているところであり,令和3年答申においては,これらの資質能力に加え,ファシリテーション能力,ICT活用指導力等が挙げられているところです〉(157字)

 

 いつも学生には、一文の長さは40~50字と伝えています。それ以上になると、主語と述語がよじれてしまうからです。この文章を書いたのが学生なら、三つに分けるよう伝えます。まずは「教師に求められる資質能力については以下の答申が出されています」などと切らせますね。

 1文で「~において」を2度も使うのはどうかな、とも言うでしょう。同じ表現を繰り返すと、稚拙な印象を与えます。ついでに「資質能力」についても、なぜこの表現を使ったのか尋ねますね。資質は「生まれつきの性質や才能」で、能力は「特定の仕事を成し遂げることができるかどうかという観点から見たその人の総合的な力」です(いずれも新明解国語辞典)。能力は訓練のしようがあるけれど、「生まれつき」の資質をどうしろというの? 学生が相手ならば、そう尋ねるでしょう。

 

 〈教師という職業が,ICTを駆使しながら,個別最適な学びと協働的な学びの実現を通じ,全ての子供たちの可能性を引き出す創造的で魅力的なものであるという姿を描き出しつつ,各学校種・教科等を横断して全教師に求められる基本的な資質能力を,「何ができるのか」という観点も踏まえ,できるだけ具体的に明らかにしていただきたいと思います〉(147字)

 

 「教師という職業が、…創造的で魅力的」ですか? まずは中教審のメンバーに、#教師のバトン を読んでもらうといいでしょうね。現場の先生たちが赤裸々な実態を伝えています。ところでこの文章の主語は「教師という職業」でしょうか。述語は何かしら。

 そういえば、入試改革のキーワードの一つは「書く力」でしたね。誰の「書く力」が問題だったのやら――。ああ、やっぱり頭痛。「明らかに」なんてできませんよ。意味がわからないから。本日はこれで終わり。(マツミナ)