idematsu-qのブログ

屋根のない学校をつくろう

学生には見えない「研究者」の姿

f:id:Question-lab:20210428213553j:plain

ノースポール。こんな所で花を咲かせられる(マツミナ)


 目の前にいるのに見えない――といったら、何を思い浮かべますか。

 緊急事態宣言を受け上智大学は休講と決まりましたが、「質問力を磨く(ClassQ)」はオンラインでいつも通りの時間に集まりました。嬉しいことに、学生たちから授業をしてほしいという要望があったからです。数日後には正式にオンライン授業になることも考え、自由参加でZoomでのClass Qを開きました。

 

 この日の記事は、「海外研究資金の透明化 政府方針きょう決定 技術流出禁止」(4月27日付読売新聞朝刊)。

 国から研究費助成を受けている研究者は、国内外を問わず、全ての研究資金の受け入れ状況を開示するよう政府が決定するそうです。研究者が虚偽申告をしたら、研究資金の返還要求や応募制限がかかるなど、厳しい内容です。中国が世界の優秀な研究者を集めている「千人計画」を警戒し、安全保障に関わる先端研究が流出しないよう対策を強化することが狙いです。 

 

 なりきる立場は「研究者」。学生にとっては身近な存在のはずなので、学問分野や年齢など詳細の設定は学生に任せました。「研究者になりきって」この記事を読むと、どんな質問が出てくるのでしょうか。まず、どんな研究者を設定してくるのか、ワクワクしながら水をむけてみました。すると

「社会や世界をよくしたい。そういう思いで国や大学からお金をもらっている人」

「お金がないんじゃないかな」

「科学系の人」

「企業に雇われているかも」

「研究費を不当にもらっている人もいると思います」

「大量殺戮兵器のようなものを作る人」…。

 

 研究者像が、全く抽象の域を出ないのです。ふざけているわけではありません。休講中にもかかわらず、自主講座に出てくる熱心な学生たちですから。にもかかわらず、なぜ同じキャンパス内にいる大学教員たちの「研究者」としての側面が目に入らないのでしょうか。

 

 目の前にいるのに見えない。学生にとって研究者の存在がこんなに希薄になっているのは、なぜでしょうか。(マツミナ)