idematsu-qのブログ

屋根のない学校をつくろう

質問力が社会で生きる

 

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「胡瓜に興味はない」。そんな顔つきです(マツミナ)

 この春就職した「質問力を磨く(ClassQ)」卒業生と今朝、Zoomで会いました。きらきらした笑顔で開口一番、「質問力、使ってます」と嬉しい報告です。

 いつか農業をしたいと夢を語っていた女子学生でした。今は農業に関わる出版社で営業をしています。初任地は東北地方。一体、「質問力」をどう使っているのでしょうか。

 

 営業は電話での「アポ取り」から始まります。自己紹介をし、時間をとってもらえるようお願いをする短いやり取りです。ところが、受話器から飛び込んでくる声が「魔法の言葉にしか聞こえない」というのです。例えば4月、長野県のりんご農家にかけた電話ではこんなやりとりがあったそうです。

 「いま何をしていらっしゃるのですか」

 「テッカで忙しいんだ」

 テッカって何? 自分で尋ねておいて、その答えを理解できない。その時、Class Qで何度も言われていた言葉を思い出したそうです。「バカな質問なんてない」。よし、聞いてみよう。「摘花」だとわかりました。いいリンゴを実らせるために、余分な花を摘むそうです。

 ヘルメットをかぶり、カブに乗って営業に回ります。カブに乗るは初めてで、行く先々でエンストを起こしては、近くの農家に飛び込み、助けを求めます。「ねえちゃん、何やってんだ」と呆れられながらも、農家の人たちは笑顔で助けてくださるそうです。

 アポをとった農家にお邪魔したら、また「質問」です。長野のぶどう農家を訪ねた時、ハウスにシャインマスカットがたわわに実っているのを目にしました。「ずっとシャインを作ってきたのですか」――。

 その農家はもともと「お蚕さん」で、それからリンゴ農家。単価が安くて困ったので、りんごの木を切って巨峰に切り替え、今は高く売れるシャインマスカットになったと話してくれました。その農家の歩みから日本の社会までが見えるような思いがしたそうです。

 営業の仕方は先輩たちの背中に学んでいます。きっちり計画を立てるタイプ、臨機応変に進めるタイプ。「答えは一つじゃない」。これもClass Qで学んだことです。

 先輩や仲間と今後の方針などについて話すこともあります。そんな時には率先して「書記役」に名乗り出ます。対面であろうが、オンラインであろうが、どんと来い。Class Qで書記の面白さを十分に体得することができたからだそうです。みんなの意見を耳から脳に送り込むインプットと、手で再現するというアウトプットを通して、咀嚼することができます。その過程で新たな質問も生まれ、返すこともできます。

 彼女がClass Qに初めて来たのは、2年生の春学期。何をしたらいいのかわからない、身の置き所に困っているような表情が印象に残っています。始まったばかりの生活ですが、その表情からはスタートラインについた自信を読み取れました。

 

 Zoomを終えて一息。これから胡瓜に支柱を立ててやりましょう。ツルを思い切り伸ばせるように。胡瓜を植えるのは初めてです。(マツミナ)