idematsu-qのブログ

屋根のない学校をつくろう

 理不尽に対してNo!と言う力

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もう水羊羹の季節かあ(マツミナ)

 政府の教育再生実行会議が、公立中学校の少人数学級化を求める提言を固めているようです。読売新聞朝刊1面に掲載されていました(5月16日付)。すでに公立小学校では学級人数の上限を40人から35人へと段階的に減らしています。少人数学級の中学校でどんな教育を実現するのかはこれからの議論でしょう。ぜひお願いしたいのは、論理的な文章を書くための基礎力を育てていただきたいのです。

 もちろん、大学でも論理的な文章を書くための講座は開いています。けれども、18歳からではなく、もっと早い時点、理想的には小学校入学時から徐々にトレーニングをしてもらえれば、と願わずにはいられません。その機会に恵まれなかった学生たちが痛い思いをしているからです。

 学生たちから相談を受けてるのです。リポートや論文を出しても、学期末にアルファベットで評価されるだけ。何が評価されたのか、あるいは単位を取れなくても何が問題なのか、学生はわかっていません。

 

 先日、学生からこんな声が寄せられました。

 「リポートを出したら『小学生低学年レベル』とか『日本語になっていない』と返ってきた」。コメントをもらえるだけマシと考えるべきなのでしょうか。それにしてもひどいコメントです。「小学生低学年レベル」は何を意味しているのかさっぱりわかりません。抽象的な罵倒でしかないので、改善のヒントにすらなりません。

 学生は、リポートを出すのが怖いと感じながらも、「どうしたら上手く書けるのか」悩んでいます。ああ、もうじれったい。歯ぎしりしたくなります。もしこの学生に質問で切り込める力があったら、と。

 「先生、ご指摘の『小学生低学年レベル』とは、小学生のどの能力のことをおっしゃっているのでしょうか」

 「小学生といっても、多様です。いつの時代の、どこの地域の、どんな小学生のことでしょうか」

 「具体的には、どこをどう改善しろとご注意くださっているのでしょうか」…。

 

 「質問力を磨く(Class Q)」の学生たちには、常々「理不尽に対してNo!と言う力」を求めています。権力者であろうが、目上の相手であろうが、言うべきことは言う。タイミングを図り、その場にふさわしい表現力で、場合によっては仲間も集めて。その際には質問を使いなさい、とも。

 もし学生がそんなふうに質問できたら、先生もコメントの問題点に気づいたでしょう。こうして学生の小さな声が教員を動かしていったら、大学の空気も変わり、新しい学びの場になると期待しています。 

 というわけで、中学校の少人数学級では、論理的な文章を書く基礎力育成に取り組んでいただきたいと強く願っております。(マツミナ)