idematsu-qのブログ

屋根のない学校をつくろう

考える先生を育てなくては

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くさむらのポピー。どこからタネが飛んできたのかな(イデちゃん)


 日曜日の午後、久しぶりに音楽を聴きに行きました。緊急事態宣言下でのコンサートですから、入り口での検温、消毒は徹底していて、2,000人余は入れるホールも半分以下の人数に抑えられていました。私の席は3階のピロティ側で人もまばらでしたから、ここならウィルスも近づかないだろうと勝手に安心して、ゆっくり聴くことができました。

 曲目の二つ目はバルトークのピアノ協奏曲第1番でした。生で聴くのは初めてです。登場したピアニストを見て驚きました。黒のシャツに同色の細いネクタイ、スーツも黒でタイトな仕立てがとてもよく似合う若者です。「どこかで見た顔だなあ」と想いに耽っているうちに曲が始まりました。オーケストラの大音響を相手に、体全体を使って低音を鳴り響かせる若者の指の力強さに、初っ端から圧倒されました。

 

 鍵盤から顔を上げた彼の目線の先に私の席はありました。目と目が合った(ような気がした)瞬間、気になっていた人物の名前が脳味噌の中で炸裂しました。「流川(るかわ)だ!」冷静で生意気そうなあの目、無造作な髪型。目の下にいる若者は名作『スラムダンク』(井上雄彦)に登場する「流川 楓」だったのです。それからはもう、バルトークには申し訳ないけれど、ピアノと格闘する彼の姿に見惚れて「音楽」のことは忘れていました。

 演奏が終わった後、力一杯拍手を送りました。バスケットの試合を見終わった後のような興奮を感じながら。いい歳をして何をしに行ったのやら。何を隠そう私は流川君の大ファンなのです。

 

 さて、文科省は「公立中学校の少人数学級化」について、教育再生実行会議からお墨付きをいただいたようですね。あとは財務省のお許しを待つばかりとなりました。近年、多くの自治体に義務教育学校が設置され、ここでは小中連続して9年間、同じ学校にいるわけですから、小学部で35人学級にしておいて、中学部では40人というわけにはいかないでしょう。35人でスタートした今年の小学1年生が中学生になる時に中学も35人学級にしなかったら保護者も納得しないでしょう。

 だから「楽勝じゃん」と言いたいところですが、ミナさんが指摘するように「少人数学級の中学校でどんな教育を実現するのか」という点について具体的な研究と実践を進めなくてはなりません。「少人数学級による指導効果のエビデンスを示せ」という財務省の指摘に応えることができなければ、実施が先延ばしになる可能性もあるかもしれませんから。

 というのも、T君が先日の学校参観の感想の中で触れていた「この授業だったら少人数でなくてもいいのでは」という指摘は財務省の言っていることと同じものだからです。機械的に集団のサイズを小さくしただけで、学習内容や生徒の習熟度に適応した集団構成や指導方法でなかったら学習効果は上がりません。財務省の思う壺です。役人が見たら「ほらね」っていうかも知れませんね。

 ところで、少人数学級になれば「論理的な文章を書くための基礎力を育てる」ことができるかというと「?」が点ります。少人数で手取り足取りして「論理的な文章の書き方」のレトリックを教えることはできるでしょうが、「考える」という基本的な学習習慣が身に付いていなかったら中身のある文章は書けないでしょう。

 大学の先生が「小学生低学年レベル」とか「日本語になっていない」と表現の稚拙さを指摘したくなる気持ちもわかりますが、ここは具体的に問題点を指摘し、学生との「やりとり」を繰り返して論理を整えさせ、思考を鍛えていくしかないのではありませんか。(流川命のイデちゃん)