idematsu-qのブログ

屋根のない学校をつくろう

スズメの子

 

f:id:Question-lab:20210518215552j:plain

こういう時こそ糖分。いや、いつでも糖分(マツミナ)

 今日は朝からずっと自己嫌悪を抱えたまま過ごしました。なぜ子どもに挑戦を許せないのか、自分の経験則は絶対か、いつも学生たちに結果を考えずに挑戦しなさい、と言ってきたではないか、あれは口先だけだったのか…。

 

 ことの起こりは今朝7時ごろ。外でなわとびの練習をしていた小学生の息子が家に飛び込んできたところからです。

 「お母ちゃん、スズメの子飼っていい?」

 顔を上気させた息子に手を引かれて外に出てみると、高齢のご夫婦が待っていました。ご主人が両手をそっと開くと、中には青いハンカチに包まれたスズメの子。目がぱっちりと開いていて、羽も生えそろっています。近くの電柱の下で拾ったのだそうです。

 うるさいぐらいに息子が繰り返します。

 「飼っていい?」

 その時、私は動物病院に貼られたポスターを思い出していました。「野鳥のヒナは拾わないで」と書かれていました。親鳥がそばで見ていて、人間が遠ざかったら巣に回収すると書かれていたように記憶しています。それでもご夫婦は拾ってしまったのでしょうね。その気持ちはわかります。

 けれども私が息子に言ったのは「だめ」。

 

 実は子ども時代に何度もスズメの雛を拾ったことがあります。1羽も成鳥にさせることができませんでした。不登校だった小学生の私には、時間がたっぷりありました。図鑑を見て、井の頭公園の獣医さんを訪ねて餌のやり方などを聞き、丁寧に育てているつもりでした。それでもある朝起きると冷たくなっている雛を目の当たりにするのです。目を閉じた雛の顔に何度涙を流したことか。電柱の上の巣に戻せないのなら、せめてこのご夫婦の方が可能性があるのかもしれないという計算も働きました。

 私の頑なな決断に息子はもとより、ご夫婦も残念そうな表情でした。

 

 その瞬間、判断を誤ったと思い始めました。よく考えると、何度も私がヒナを拾って育てたのは、黙って許してくれた母がいたからです。田舎でたくさんの生き物と暮らしていた母のこと、小学生の娘がスズメの子を育てられるかどうかわかっていたでしょう。それでも黙っていたのです。一方の私はどうでしょう。自分の乏しい失敗の経験にしがみついているだけでは…。

 

 今「質問力を磨く(ClassQ)」の学生たちが新たなイベントづくりに取り組んでいます。手出し口出しをしたくなった時に、今日のことを思い出すことにします。苦い教訓です。(マツミナ)