idematsu-qのブログ

屋根のない学校をつくろう

急がば回れ

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夏椿の花が咲き始めました(イデちゃん)

 「教員免許更新制」の見直しをするようです。巷で悪名高い(?)この制度もそろそろお役御免になるのでしょうか。中教審は廃止も含めて近々結論を出すそうです。

「教員免許更新制」が導入されたのは2009年。第1次安倍政権の「教育再生会議」などの提言を受けました。更新講習を受けるのは10年に1度で、「最新の知識や技能」を2年間で計30時間以上受け、免許を更新するのです。

各教委でも10年次研修を行っており、それとの違いが明確でないと指摘されていました。学校の多忙化が進む中で講習を受ける教員の負担増も懸念されていました。

毎日のように知識や技術が更新される時代に10年に1度の更新では追いつけるはずがありません。しないよりましと言いたいところですが、更新に関わる費用対効果を考えると、あまりお勧めの仕組みではありません。そもそも、この制度の始まりには多くの疑問が指摘されていたのですから、この際、廃止も含め「抜本的な見直し」(萩生田文科大臣)をした方がよろしいかと思います。

朝令暮改」の誹りは拭えませんが「過ちて改めざる是を過ちという」と孔子様も言っているではないですか。

 

さて、「高校までの習い性なのか、学生たちは『問いには必ず正解がある』と思い込んでいるようです。しかも、先生に質問すれば、正解を教えてくれると勘違いしているのかもしれません」というミナ先生の嘆き(?)も聞こえてきます。「たくさんの問題を解いて速く正解を出す」事が求められる教育から「じっくり考えて納得する答えに辿り着く」教育への転換が急がれます。おっと「急いで」は禁句でしたね。ここは「急がば回れ」と行きましょう。

 

ある科学教室での話です。講師の話が終わり「何か質問ありますか」と促されて、一人の少年が手を挙げました。

「宇宙には星が何個あるのですか」

「君は何個ぐらいあると思いますか」

「わかりません」

「宇宙や天文のことをわかりやすく書いた本があるから、その本を紹介するね。君の質問に関係することがたくさん出ています。自分で調べてみなさい。君ならきっとわかると思います。それで不思議に思うことがあったら今度また質問してください」

 

会の終了後、控室で講師と話す機会があり、星の数をなぜ答えなかったのか話してくれました。

「QuestionとResearchは違います。Questionは『質問』つまり『疑問に思ったことに対する問い掛け』ですが、Researchは『調べる』ことです。星の数は調べればわかることですから『調べ方』を教えればいいのです」

 たくさんの聴衆の前で手を上げてくれた少年の気持ちを大切にして、「調べること」と「考えること」違いを解いて下さった科学者の教えに「納得」しました。

私たちが進めている「考える先生」プロジェクトの基本である「自分の頭で考える」という狙いに通じる教えです。(イデちゃん)