idematsu-qのブログ

屋根のない学校をつくろう

採用試験の質

 

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どこからフォークを入れたものやら(マツミナ)

 今日はとある大学の学長とご一緒する機会がありました。教育改革に力を入れている方です。「学生に、社会で実践できる教養を身につけさせたい」「中でも哲学を学んでほしい」「一方的な講義ではなく、学生自らが考え、対話ができる授業を」…。前から変わらぬ熱い思いを語ってくれました。

 そうした学長にとって業腹なのが、企業の採用活動だそうです。「採用試験の質が低すぎます」。多くの企業が共通で使っている適性検査などで一体何がわかるのか。企業人が求める資質としてよく口にする「個性」「独創性」と矛盾することに気づいていないのか。何を学んできたのかを尋ね、なぜ議論を挑んでくれないのか。「その程度の適性検査に頼るぐらいの企業だから、採用試験の質を上げろというのは無理な話でしょうが」。厳しい表情で語っていました。

 採用試験の質を上げてほしい。私も全く同感です。例えば経済学部の学生を相手に、「経済を専攻する立場から、日本の現状の問題点と打開策を3000字で書け」なんて問題を出すようになったら、学生も真剣に勉強してくれるだろうなあと期待しています。何よりも、それで落とされたのなら、悔しくても納得できます。自分の勉強不足だと。激しく後悔し、そこから本当の学びが始まるはずです。

 

 先日も、ひとりの学生が肩を落としていました。第一志望の企業に落ちたというのです。それも適性検査で。企業にとっては、既成の適性検査は手間を省けていいかもしれません。けれども、学生にとっては結果の理由がわかりません。なまじ「適性検査」だから、「ダメ人間」の烙印を押されたようにも感じるでしょう。

 

 「質問力を磨く(Class Q)」では企業人のサポートが学生の成長を支えてくれています。先日も、学生たちのために説明会を開き、頻々と寄せられるメールでの質問に丁寧に答えてくれました。「学生たちの成長が嬉しい」。そう話していました。採用試験の質はともかく、こういう企業人がいることがせめてもの救いです。(マツミナ)