idematsu-qのブログ

屋根のない学校をつくろう

赤信号 みんなで渡れば怖くない

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隅田の花火が咲き始めた。今年は花火大会あるかな(イデちゃん)

 同調圧力ですか。嫌な言葉ですね。でも「みんなと同じじゃないと安心できないという日本人特有の気質だよ」と一括りに片付けたくはありません。みんなと同じではなくても別に不安ではないと思っている日本人はいくらでもいますから。日本人も捨てたものではありませんよ。

 

 1980年代、漫才コンビ「ツービート」(ビートたけし・きよし)の「赤信号、みんなで渡れば怖くない」というネタが大流行しました。もう知らない人の方が多くなったかも知れませんが。当時、このコントを巡っていろいろな議論が展開されました。法律に違反しているのに「だって、みんながやっているのだから」と言い訳するのは非常識だとか子供が真似をしたら困るとか指摘され、社会問題にもなりました。

赤信号でも「みんなで渡れば」法律に違反しても怖くないのか、車の方が止まるから怖くないのか、本人たちの本音はどの辺にあったのでしょうか。タケシの性分からすれば後者の方で「心配するんじゃねえ、みんなで渡れば車の方が避けていかあ。怖かあねえや」と啖呵を切ったのではと私は思います。

 

 最近、新型コロナの変異株が威力を増し、東京オリンピックパラリンピックの中止・延長を求める意見も増えて来ました。これに対して「必死で練習してきたアスリートたちの参加機会を奪うのはかわいそう」とか「これまでの準備が無駄になり経済的損失が大きい」といった理由で、なんとしても実施すべきという意見もあります。

 同調圧力のメカニズムから考えると「アスリートの努力や準備に要したお金のこと」を考えたら実施に同調する方が正義になり、「みんながやる気になっている時に反対するのは『空気読めない奴』という「同調圧力」が強まることになるのでしょうか。

 

 同調圧力のベクトルは多数派、上位者あるいは力を持つ者から、少数派、下位者あるいは力を持たない者へと向けられます。一見、同調しない当人が不利益を被らないように配慮するような体裁になっていますが、実は同調しない人のために自分が不利益を被ることになるのを避けるための仕掛けです。

「ああいう質問はしない方がいいよ」という忠告も「あなたのために忠告するのよ」と言いながら、実はあなたのためではなく「自分が迷惑する」から止めてくれというメッセージだとしたら怖い話ですね。

 「赤信号、みんなで渡れば怖くない」というコントがみんなに受け入れられたのは「車にはねられる時は俺もオメエも一緒だよ」という仲間意識を感じたからではなかったかと思います。

 

 「惻隠」という言葉があります。意味深い言葉です。広辞苑によれば「いたわしく思うこと、哀れみ」とあり、古代中国の思想家孟子の言葉とされています。「相手の身になって自分の思いをそっと伝える」という意味を込めて「思いをいたすこと」と習いました。忖度だのKYだの同調圧力だのとは次元の違う価値です。(イデちゃん)