笹生優花の爪の垢でも煎じて飲め
ゴルフの全米女子オープンで笹生優花選手が優勝しました。インターネットで流されたニュースには「19歳の笹生優花が全米女子オープン優勝。畑岡奈紗との日本勢P O対決制す」とありました。19歳での優勝はこれまでの最年少とのこと。また、日本人の優勝も初めて。それから日本人同士の決勝P Oも初めてということでした。
この「初めて」尽くしが並んだ記事を見て私が注目したのは「19歳」という彼女の年齢です。年間数十試合と行われるプロゴルフの大会の中で「メジャー」と呼ばれる歴史と権威のある大会があって、そこで優勝することはとても難しく、優勝者は大変な名誉と巨額の報酬を受け取ることができるのだそうです。世界中の野心的なプレーヤーが優勝することを目指して挑戦する中で、一番になることは私たちの想像をはるかに超えるものであることでしょう。
日本では、彼女が日本国籍を持っていることや日本人同士の決定戦が行われたことに注目が集まりましたが、世界では「19歳の若者」の快挙に視線が集中したようです。共同通信によればアメリカの全国紙USAトゥデー(電子版)は「10代が大会の話題の中心となった」と報じ、AP通信は「大会史上最年少優勝」であることを強調しているとのことでした。
日本の若者はどう受け止めたでしょうか。
「授業に熱心に取り組むことを『恥ずかしい』と感じない。真剣に学ぶ仲間を『意識高い系』とからかわない。文字にしてみたら、ちっとも変なことでもないのに、こういう空気をClass Qで醸成するのに結構な時間がかかり」、「空気を醸成するだけでは、学生一人一人の学びの意識までを変えることは難しい」とミナ先生を嘆かせ、「今日、紹介してくれた本はフィクションだということです。読むべきなのはノンフィクションではないでしょうか。フィクションを読む必要がありますか」と尋ねる「想像力」に欠ける学生たちは「あれはゴルフの世界の話」と白けるでしょうか。「笹生優花の爪の垢でも煎じて飲め」なんて言ったら「爺さん、ワケのわからないことを言ってんじゃねーよ」って笑われますかね。
昔々学生だった頃、ゼミの読書会で「自由からの逃走」(H・フロム)を取り上げ、フロムの難解な文章に悪戦苦闘したことがありました。「孤立することの絶望的な恐怖から逃れるため、退行的な逃避のメカニズムが働き、“積極的な自由”を求めることより、自由から逃れることを人間は選択する」という主張が新鮮だった覚えがあります。「自由」という言葉を「学び」に置き換え、「学びから逃走するなかれ」と若者たちに伝えることは可能でしょうか。(イデちゃん)