自分で判断できない校長
「議論しないことは悪いことか」と言われたのですか。「悪い」か「いい」かで判断してしまうあたり、その学生さんは「いい子」ではないでしょうか。イデちゃんが「議論しないことは、悪いことだよ」と伝えたら、「議論しなきゃ」と思ったかもしれません。権威のある人の言うことを聞く、さらに言えば、指示を出してもらいたがる傾向は、多くの学生が待っているような気がします。
昨日の「質問力を磨く(Class Q)」は、「学校連携観戦プログラム」に関する記事を題材にしました。子どもたちを引率してのパラリンピック観戦について、東京都杉並区の小学校長になりきって問いをたて、考えました。
読売新聞の報道(2021年7月2日付夕刊)によると、感染が拡大する中、会場までのアクセスや場内に関する情報が少なく、自治体によって判断が分かれているようです。さて「Class Qの校長」たちの判断やいかに。
目につくのは、国が考えるべき問題ととらえる校長です。
「国は第5波を見据えて、もっと広い視野で感染リスクを捉えているか」
この校長は、困っているようです。でも、何を知りたいのやら。
オリンピック組織委員会に方針を求める校長もいました。
「チャーターバスに関する方針を出さないのか」
なぜ方針を出してほしいのでしょうか。バスを借りるのに、組織委員会の方針が必要なのでしょうか。
保護者の意向も気になります。
「本校児童の保護者の何割が、どのぐらいの思いの強さで児童に観戦させたいと思っているか」
二つ以上の質問をくっつけた質問で、整理が必要です。保護者の「思いの強さ」でことを決めようとしているのでしょうか。
共通するのは、自分以外の誰かの指示や発言を待っている校長像です。
ある自治体の教育長から聞いた話を思い出しました。「『コロナ下で遠足に行くにしても行かないにしても、親に説明を求められる。教育長が方針を示してくれ』と言ってきたんだよ。校長なんだから自分で決めて親に説明すればいいのに」
そういう校長を見て育った学生が誰かの指示を求めるのは、不思議ではないかもしれません。
ここに書いたようなことは、教室で学生たちにも伝え、議論もしました。「いい」か「悪い」かではなく、自分の思考の「枠」や「型」を知るには、議論はいい機会です。(マツミナ)