idematsu-qのブログ

屋根のない学校をつくろう

「うわずみの劣化」の先に

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そこから何が見えますか(マツミナ)

 先日、ある大手企業の人事責任者から大学への注文を聞かされ、驚きました。

 「何回留年した学生でもかまわない。しっかり学んだ人だけを出してほしい」

 同社では、入社後に大学で学んだことを試験しているそうです。その成績が年々低下していることから、こんな発言になりました。この企業が採用しているのは、人事責任者の言葉を使うと、世間的に「うわずみ」と呼ばれる学生層です。それでも、年々「劣化」を実感させられるとは。

 

 もちろん、質問しました。入社後に頭を抱えなくてもいいように、採用時にきっちりふるい落とせばいいのではないですか。

 人事責任者いわく、今時の学生は面接対策がバッチリ。面接者も聞きほれるような対応ぶりのようです。考え込むような問いを出しても、なんなくすっと答える。回答集が出回っているようだと見ています。発表をさせても上手で、パワーポイント資料などは企業人顔負けの出来だそうです。

 問題は、大学の成績評価があてにならないことです。これは痛いところです。担当教員が甘ければ成績評価は上がります。企業が学生が提出する成績証明書の裏を探ることは難しいでしょう。その結果、専門知識が身に付いていない学生を採ってしまいます。

 

 この企業の幹部が「日本人学生採用にこだわらない」と公言しているのを何度か耳にしています。海外の拠点に日本人を連れて行くよりも、現地で採用した方が手間がかからない。何よりも、地元コミュニティーに人脈があるから、ビジネスをしやすいのだそうです。

 

 幹部が「日本人学生にこだわらない」と言い、現場が「うわずみの劣化」を指摘していたら、いつかこの企業は「日本人学生を採らない」と打ち出すかもしれません。それを他企業はどうみるでしょうか。その時、日本の大学、いえ、学生はどうなるのでしょうか。(マツミナ)