idematsu-qのブログ

屋根のない学校をつくろう

危機感を社会全体で共有、ですか?

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一際目立つ猩猩草(ショウゾウソウ)。周りの草花が霞んで見える(マツミナ)

 夜、散歩をしていると、一緒に歩いている犬が虚空をじっと見つめ、立ち止まることがあります。私には何も見えません。夏の夜の濃い闇だけです。早く行こうよ、と声をかけてリードを引いても、根が生えたかのごとく動きません。こういう時に風が木の葉をざわつかせたりすると、もういけません。情けないことに全身に鳥肌が立ち、リードを思い切り引っ張って逃げていくことになります。

 この話を大学で働く知人にすると「見えるんだよ、その子には」と嬉しそうです。その知人にも、人には見えないものが見えることがしばしばあるそうです。しかも効果音付きで。先日夜も、一緒に残業していた部下を先に帰した瞬間、オフィスにラップ音が響き、天井の照明が点滅し始めたそうです。知人はそのできごとを、実に楽しそうに話してくれました。

 

 見えないものを見ることは、特別な才能を持つ人たちにお任せするとして、私たちはまず、見えるはずのものをしっかり見ることに注力しなければなりません。そう実感させてくれたのは、今日の読売新聞朝刊1面でした。トップはオリンピックの記事。紙面の右半分以上が、大きな見出しと写真で華々しく飾られていました。

 

 「橋本『金』 体操総合 日本勢3連覇」

 

 ガッツポーズの橋本大輝選手の写真の横に

 

 「コロナ 全国感染最多9582人」

 

 予想されていた通り、大変な事態です。オリンピックで浮かれている場合ではないはずです。

 今日(7月29日)は、全国の感染者数が初めて1万人を超えたと報じられていました。政府の新型ウイルス感染症対策分科会の尾身茂会長が「大変な危機感を感じている。感染がさらに拡大する傾向は間違いない」と指摘していました。さらに「今まで以上に明確なしっかりした強いメッセージを出していただきたい」と政府に求めています。

 

 危機感を社会全体で共有する必要性はわかります。けれども、オリンピックに浮かれる人々に、「強いメッセージ」が届くのかどうか。夏の暗闇に目を凝らしたら、解決できる方法が見つかるかもしれません。(マツミナ)