idematsu-qのブログ

屋根のない学校をつくろう

メモを取らない人

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モモ。毎朝の散歩時の楽しみ(マツミナ)

 コロナウイルスの感染拡大で、緊急事態宣言が6都府県に拡大されました。その説明のために菅首相が7月30日夜に開いた記者会見を見て、思わず首をかしげてしまいました。記者たちの質問に対して、菅首相がメモをとっていないのです。新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身茂会長が隣でメモを取りながら応じていただけに、菅首相の姿に違和感を抱きました。

 この記者会見ではどうやら再質問は認められていないようです。だから、記者たちは1回のチャンスに質問をてんこ盛りにしています。メモも取らずにどうしたら答えられるのでしょうか。ひょっとしたら事前に質問を通告されていて、模範回答をすべて頭の中に入れていたのでしょうか。

 いずれにしても、記者たちの質問にきちんと答えているのなら文句はありません。けれどもきちんと答えていないのです。だから、画面のこちらで見ている身は、不快感ばかりが募りました。

 

 学期が始まった頃の学生の多くは、メモを取ることができません。特に1年生はその傾向が強いようです。高校までは先生の板書をそのまま写していればよかった。ところが大学の先生は、高校までの先生のような板書はしないようです。学生はどうしたらいいのかと困ってしまいます。そこで「初年次教育」で、ノートの取り方を教える大学も少なくありません。

 「質問力を磨く(Class Q)」でも、メモを取ることの重要性を繰り返し伝えています。自分の手を動かして書き取ることで、何がポイントか見えてくる。書くうちに、新たな疑問も湧いてくる。相手と真摯なやりとりを重ねるには、メモが重要な役割を果たすと、強調しています。米プリンストン大学UCLAの共同研究が、メモを手書きすることで記憶の定着や新たな発想につながっていることを証明しています。そのこともついでに話しています。

 実際にメモを取り始めると、学生はその意味を実感します。相手の言ったことを理解できれば、質疑応答も深まります。丁々発止のやりとりができると、自己肯定感も高まります。学期末には多くの学生が「メモをたくさん取れるようになった」ことを「成長の証」として書いてくれます。

 

 菅首相にお勧めします。メモを取ったらいかがでしょうか。記者会見だけでなく、どの会合でも。人の話を聞くことができるようになりますよ。目にも光が宿り、言葉が説得力を持つはずです。(マツミナ)