idematsu-qのブログ

屋根のない学校をつくろう

手が記憶する

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夏(イデちゃん)

 「劇作家の井上ひさしさんは手書き派だった。読みやすく、親しみやすい万年筆の文字を思い出すファンもいらっしゃるだろう。手書きにこだわったのはゲーテのある言葉を信じていたからだそうだ。『手が記憶する』。ワープロなどを使った場合、内容を十分に理解しないまま、作業として書いてしまい、結果、内容もまた忘れやすくなるが、これに対し『手書きだと何かが残るのです』」(8月10日付東京新聞「洗筆」)

 広島で行われた平和式典のあいさつで肝心な部分を読み飛ばした方にぜひ読んでいただきたい話です。ワープロどころか自分の手で書いたわけでもない挨拶文では尚更です。「手」はもちろん「頭」も記憶していないでしょうから。

 

 同じことをミナさんが以前から指摘していました。学生に社説を書き写させ、手書きの論文を課し、書いた文章を読み直し推敲を徹底させるなどの指導は、まさに「手が記憶する」まで書くことを求めたのだと思います。書いては消し、消しては書く。読み直してまた書き直す。もう一度調べて考える。考え直して書き直す。「手が記憶する」ということはこうした繰り返しによってもたらされるものなのですね。

 一番大切な部分を読み飛ばしても気付かなかった誰かさんにもClass Qを受講されることをお勧めします。

 

 余談ですが、エマヌエル・カントが「手は外部の脳である」と言ったという話を聞いたことがあります。実際にカントの言葉を書いた本を読んだわけではありませんが。

ま、それはそれとして、「新旧のiPadを近づけただけで、勝手にデータが移っていったのです」というミナさんの驚きを読んで、映画「E.T」でエリオット少年とE.Tが指と指とを近づけることによって心を通わせた場面を思い出しました。似ていませんか。カントもスピルバーグもどうやら「脳」は指先にあることを見抜いていたようですね。なんちゃって。(イデちゃん)