idematsu-qのブログ

屋根のない学校をつくろう

カミングアウト

f:id:Question-lab:20210818184515j:plain

雲龍か、京観世か。どちらも美味しい(マツミナ)

 8月17日に東京パラリンピックに臨む日本選手団の結団式が開かれたそうです。本日の読売新聞はその写真を1面の中心に据えていました。緊急事態宣言が13都府県に広がる中でも、開くのですね。感染拡大を抑えるために無観客が原則だけれど、学校連携観戦プログラムについては学校現場の責任で。「お為ごかし」(8月17日)どころか、意味不明です。感染拡大を抑えるという意味では人流の抑制が重要のはず。学校から来る生徒や先生たちは「人」ではないと考えたのでしょうか。

 

 無責任で、歴史的な愚行として記憶されるかもしれないオリンピック・パラリンピックですが、たった一つだけ評価している部分があります。性的少数者に光を当てたことです。自らが性的少数者であることをカミングアウトする選手が相次ぎました。元男性の女性選手が競技にも出ていました。

 

 かつて授業中に突然、カミングアウトした学生がいました。外見は女性だけれど、物心ついた時から自分を女性だと認識できない、好きになるのは女性だと話していました。それをクラスの全員の前で話し始めたのです。その時に選んだ記事は、ある女子大学が入試で性的少数者に配慮すると発表した記事でした。それを性的少数者になりきって考える、としたのが引き金になったのかもしれません。

 他の学生約30人は、真剣そのものの表情で耳を傾けていました。静かな教室で聞こえるのは、カミングアウトした学生の声だけです。ありがとう、よく話してくれたね、と伝えると緊張した顔がほぐれ、笑顔を見せてくれたことが印象に残っています。とても苦しかったのだな、と胸に迫るものがありました。

 

 「らしさ」を求める社会は、とても息苦しいです。親から言われたことはないけれど、社会人になってからは随分「女らしさ」だの、「女性らしい美しさ」「やさしさ」「やわらかさ」だのを求められてきました。逆さに振っても、私からそんなものは出てこないのにな。型にはめられることのない、自分のままでいい社会をつくるきっかけになればいい、と願っています。(マツミナ)