idematsu-qのブログ

屋根のない学校をつくろう

なぜ報道しないのか

 

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夏の落とし物(マツミナ)

 「質問力を磨く(Class Q)」の学生たちのチームが、ウイグル自治区の現状について調べています。学生主催のイベント「マラソンQ」で、ウイグル自治区での人権侵害について書かれた記事をテーマにしたことがきっかけでした。

 学生たちは新聞やインターネット上の記事を集め、問題解決の糸口を探っているようです。けれどもいかんせん、情報が足りない。米英の報道に比べて、日本のメディアにウイグル問題に関する記事が少ないのです。なぜだろうと考えていたら、こんな指摘を見つけました。

 

 「理由は簡単で、米国や英国と、日本とでは国力に差があり、中国における記者を含む邦人保護などでもその差が出るからだ」(福島香織著「ウイグル人に何が起きているか」PHP新書

 

 著者は中国での取材歴が長いフリージャーナリスト。ジャーナリストが中国で何らかの迫害を受けた際、国の対応に大きな隔たりがあると書いています。

 たとえば、2019年に9人の日本人がスパイ容疑で逮捕された際、日本は釈放のためにほとんど何の外交交渉も行っていないようです。「せいぜい日本大使館関係者が(略)差し入れをしているぐらい」(同書)。

 中国政府が米国人ジャーナリストのビザ更新を拒否した際には、当時副大統領だったバイデン氏自らが北京を訪れて交渉し、更新を認めさせていたとか。

 報道が民主主義社会を守るためにいかに重要なのか、そのことを政府が分かっている。だから米英の記者たちは何かあったら、必ず自国が報道の自由を守ってくれるはずだと信頼して、リスクの高い最前線で取材できるのだと述べています。

 

 「自国を信頼する」かあ。どんな場面であっても、そう言えることに羨ましさを感じます。今の私は言えるだろうか。コロナの感染拡大を報じるニュースを見ながら、ため息をついていました。(マツミナ)