idematsu-qのブログ

屋根のない学校をつくろう

通信制高校の見直し

 

 

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いつも誰かがお世話している道祖神(イデちゃん)

 

 「文部科学省は、不登校経験者の生徒が増えるなど状況が変化している通信制高校の制度を抜本的に見直す方針を決めた。対面授業の義務付けを想定しており、(9)28日に有識者会議の初会合を開いて議論を始めた。近年の不祥事続発を受け、国の監督強化も論点となる。学校教育法や省令を改正し、2023年の新制度移行を目指す。

 通信制に在籍する生徒は約22万人に上り、増加傾向に。半数が小中学校で不登校だったとの調査結果があり、自宅学習へのサポートが必要だとの意見が浮上。働きながら遠隔で学ぶという現行制度の前提が変化しており、文科省は、一定時間は校舎で対面授業を受ける方向で検討する」(2021929日付東京新聞夕刊)

 

 この記事からは、何を見直そうというのかはっきり読み取れません。通信制高校で学ぶ不登校経験者の生徒が増増加して、働きながら遠隔で学ぶという前提が変化したからですか。それとも実際に授業をしないでやったふりだけして補助金もらっている不埒な「業者」がいるからですか。

 「自習中心の教育についていけない生徒が増えている」から「一定時間は校舎で対面授業」を受けさせれば「学習習慣」は身につくのでしょうか。有識者の方々がほんとにそう考えているのでしょうか。「リモート授業は出席と認めない」とする文科省の意と同様に「一定時間は校舎で対面授業を受けなければ履修を認定しない」ということになるでしょうか。

 通信制高校定時制高校と同様に、働きながら学ぶ勤労青少年が高校教育を受けることができるようにという目的から発足しました。1960年代以降の高度経済成長期に地方から都会の企業に就職した多くの中学校卒業者が定時制高校や通信制高校で学び、高校卒業資格を取得することができました。勤労青少年の向学心を支える教育制度だったのです。  

 

 半世紀以上が過ぎ、通信制高校で学ぶ生徒が当時と変わってきていることは私も承知しています。働きながら遠隔で学ぶという現行制度の前提が曖昧になっていることも確かです。だからと言って「学校に来て対面で学ぶ」ということに力点を置いて学校教育法や省令を改正すれば事足りるとは思いません。学び方は多様でいいはずですし、国が決めることではないと思うからです。(イデちゃん)