idematsu-qのブログ

屋根のない学校をつくろう

コンピュータは子どもの社会を変えると予想したものの

f:id:Question-lab:20211017194107j:plain

キバナコスモスもそろそろ終わりかな(イデちゃん)

 

 「小中学校に学習用のパソコンやタブレット端末を1人1台配布する政府のGIGAスクール構想を巡り、東京都内の少なくとも6区市で、端末を使って悪口を書き込むなどのいじめがあったことが、本紙が東京23区と多摩地域5市(八王子、立川、府中、調布、小平)の教育委員会に実施したアンケートで分かった。他人へのなりすましも4区市であった」

 東京新聞がトップ記事で扱っていました(2021.10.17東京新聞)。私は30数年前、授業にコンピュータを活用する研究・実践に取り組んでいました。当時は学校で児童・生徒が一人一台のパソコンを使って学習することは、文科省教育委員会から研究開発を委託されたり、大学や企業等と連携して研究を行なったりしない限り、ほとんど不可能でした。

 それがGIGAスクール構想の推進で、全国の公立小学校の96.1%が全学年または一部学年で端末の利活用を開始しています。当時を知る者としては、「隔世の感あり」ですが、もたらされた結果に大きな戸惑いを感じています。

 

 次の小文は日本の学校教育にコンピュータが導入され始めた頃に書いたものです。

 「子どもたちは1日の大半を学校で過ごす。その中で、学習や遊びを通して様々な人間関係を作っていく。(略)それは子どもの内面的な発達が大きく関係しており、大人たちの目に見えるもの以上に様々な要素が絡まり合って集団が出来上がっている」

 その小文の中では続けて児童が書いた作文を紹介しました。

 「ロールプレイングゲームをやる時どんな人とやると面白いかというと、想像力のある人とするといい。(略)『涙の倉庫番』のようなパズルゲームは頭を使わないとできない。(略)しんちょうな人でないとダメだ。(略)でもそういう性格の人は好きなタイプではない」

 それを受けて、私の考えを展開しました。

 「子どもは覚めた目で級友を見ている。そして、自分の考え方や行動原理に合った人間関係を作り上げていく。子どもたちには彼ら特有の組織原理や行動原理、あるいは意思決定の過程があり、それらがどのような構造になっているかを見ていくと大変興味深い事柄に出会うことがある。(略)人間の心理や行動の特性を十分に考慮して作られた問題解決型のゲームソフトは、問題を把握する能力や問題解決のための論理的な思考が要求される。子どもたちがこうしたゲームを通して、これらの能力を向上させていくとすれば、これからの子どもの社会は今までとかなり異なった構造になっていくことが予想される。

 コンピュータは子どもにとってすでに身近な存在となっている。子どもの社会がコンピュータによって今後どのように変わっていくのかということについて、大きな関心を持たざるを得ない。(「子ども社会のエコロジー」1988.3 東京都立教育研究所「学校におけるパーソナルコンピュータ利用の研究」)―

 30数年前に「これからの子どもの社会は今までとかなり異なった構造になっていく」と予想したものの、この現実との乖離に戸惑っています。(イデちゃん)