idematsu-qのブログ

屋根のない学校をつくろう

だまされ続けるのは、ごめんです

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甘いひととき(マツミナ)

 

 「♪どうせ私をだますなら だまし続けてほしかった」という歌謡曲「女心の唄」の一節を読みながら、そうかあ?と首を傾げてしまいました。付き合っている彼がいるのを黙って結婚するゲイの夫はそもそも身勝手です。私なら、そんな人間にだまされ続けるのは、ごめんこうむります。

 

 この一節から同時に思い出したのは、言語学者寿岳章子さんと学生チームが行った「歌の調査」です。日本で大衆が口にする歌謡曲や演歌などで「女たちはいかに描かれているだろうか」と気になったからだといいます(「日本語と女」岩波新書)。時は、国際婦人年とされた1975年でした。

 調査対象となったのは実に844曲。そこで浮かび上がったのが、「主体性を失った女性」たちの姿でした。頻出する言葉を列挙すると、「待つ」「甘える」「愛される」。さらに、そうした女性がいかに行動するかに注目すると、「そばにいる」「真心をつくす」「泣く(しのび泣く、むせび泣く、すすり泣く、泣きじゃくる)」「惚れる」…でした。

 寿岳さんによると、予想通りの結果だったそうです。「もろもろのうたの中で女は愛と恋の世界に生き、ほとんど男にくっついて、しかも一歩退いた位置をとりたがる」と述べています。

 

 「だまし続けてほしかった」も、その延長で出てきたのでしょう。では、だます人が政治家だったら、官僚だったら、同じことを言えるでしょうか。主体性の喪失は、古びた歌の世界だけにしたいもの。衆院選の投票日まであと1週間です。(マツミナ)