idematsu-qのブログ

屋根のない学校をつくろう

「引きこもり」からの就職

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学生と企業との懇談会(11月12日、帝京大学で)

 帝京と上智大学で展開している授業「質問力を磨く(ClassQ)」は、中小企業家同友会に加盟している企業の協力をいただいています。授業に参加するだけでなく、学生のインターンシップやインタビューも引き受けてくれます。数日前も、8社の経営者や人事責任者らが学生との懇談会に参加しました。やりとりの中で、設計会社の経営者がこんな話をしてくれました。

 

 「今年7月、採用面接に来た人の履歴書を見たら、大学を中退して2年間のブランクがあったんですよ。何してたの?と尋ねたら、家に引きこもっていたって言うんだよね」

――家に引きこもって、何していたんでしょうね。

 「ゲームなんかをして暮らしていたみたいですよ

――で、社長はどう対応したのですか。

 「採用しましたよ。うちは学歴不問だし」

――えっ、採用したんですか? なぜですか。

 「真新しいスーツを着ていたんだよね。きっとこの日のために親御さんが買ったんだろうなって思ったらさ、そのまま帰せないじゃないの」

 なんとかなる、なんとかしよう、と瞬時に腹が決まったそうです。

――で、仕事ぶりはどうですか。

 「頑張ってるよ。うちはちゃんと仕事を教えるから、できるようになるんだよ」

 先日も沖縄に出張して、現地の人とやりとりをしながらプロジェクトを進めているようです。それでも自己評価が低く、そうした自分の頑張りすら認められないことが気になっているとか。だからこそ、外との接触の機会を減らさないことに重点を置いているそうです。

 「コロナでリモートワークしている社員もいるんですよ。『僕も出てこなくていいですか』というので、あなたはだめ、出ておいでと言っているんだ」

 さすがです。

 

 2人に1人が大学に進む時代、その大学ですら続けられない若者に、世間は決してやさしくはありません。まして日本は新卒一括採用が主流です。いったんコースを外れてしまったら、正規雇用のステージにはなかなか上がれないことがデータで示されています(「大学等中退者の就労と意識に関する調査」2015年、労働政策研究・研修機構)。

 それでも人生をやり直せる場が、まだあります。(マツミナ)