idematsu-qのブログ

屋根のない学校をつくろう

選挙の顔

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踏切のグラジオラス(イデちゃん)

  9月の自民党総裁選をめぐり、党内の若手・中堅を中心に「菅首相の下では戦えない」と不安視する声が上がっているようです。幹事長の二階さんが「誰々さんでは選挙は戦えないというのは失礼な話ですよ。自分だったらどうするんだ」と苦言を呈しても収まりそうもありません。それどころか、幹事長交代の話まで出てきました。

 

 内田樹氏が東京新聞の「時代を読む」(8月29日付)というコラムで「自民党の劣化」と題して、池田勇人田中角栄が仕切っていた頃の自民党を引き合いに興味深い指摘をしています。

 「自民党の党人派の政治家たちには、敵味方を截然と分かつよりも、とりあえず縁あって『草鞋を脱いだ』人間は一家に迎えるという仁義を守る者が多くいた(略)、今の自民党にはもうそういう『人脈』を持つ政治家はいないし、『寝技』や『腹芸』を使える者も絶滅危惧種となった。あの手の芸は若い頃から場数を踏まないと身につかないが、今の自民党はほとんどが世襲議員かメディア有名人上がりだから、『修行』を要する『芸』は身に付いていない(略)、乳母日傘で育った世襲政治家たちはそもそも『修羅場』というものを見たことがない」

 

 自民党の議員の中で「3年生議員」「2年生議員」などと呼ばれる人たちの多くは自分の力で当選を勝ち取ったというよりは、時の政権の御威光で当選した者が多いと言われます。彼らにとって「選挙の顔」は自分の当選に直接影響する重大ごとになるというわけです。

 二階さんは自民党の中で修羅場の経験を持つ数少ない「党人派」の一人ですが、「自分だったらどうするんだ」と睨み返した胸の中は「人の褌で相撲を取りたがる奴らばかり増えやがって」という思いでいっぱいだったことでしょう。お察しいたします。

 

 そういえば、以前の首相の中には、文書を改竄させたり、本当のことを言わなかったり、人のせいにしたりして「修羅場」をすり抜けてきた方が何人かいました。どなたも「乳母日傘で育った世襲政治家」でしたね。そういう方を親分に担いで選挙に勝とうって魂胆が気に入りません。「親が親なら子も子」とはよく言ったものです。

 自民党は好きではありませんが、「草鞋を脱いだ」人間を何人も一家に迎えてきた二階さんに同じ世代の一人として同情したくなりました。(イデちゃん)