「自分の考え」とは何か
「全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)」の結果が公表されました。結果の解説を読みながら、理解しきれないところがたくさん出てきて、頭が痛くなっています。一昨日受けたワクチンのせいばかりではないでしょう。
テストは今年5月、小学6年生と中学3年生の計194万人が受けました。多くの先生や親たちが心配していた、コロナによる休校がどれほど学力に影響したかについては、心配しなくても大丈夫と結論づけていました。「休校期間と成績は全体で見て相関がなかった」(文科省)ようです。とはいえ、やはり気になる傾向があると分析しています。たとえば小学生の「書く力」です。
「書く力」をみる問題は、二つの文章を題材に使っていました。一つは、「みんなが気持ちよく学校生活を送れるよう、一人一人が責任をもって、自分の使ったものをかたづけよう」と訴える児童Mさんの文章。もう一つは、掃除当番の児童Nさんのコメント。みんなが散らかしっぱなしのものを片付けているために、掃き掃除や拭き掃除に手が回らないと明かしています。
そこで問題です。Mさんは「片付けは掃除当番がやればいい」という人を説得するために、Nさんのコメントを使って「使った人が片付ける」を強く訴えたいようです。字数は60字以上、100字以内。さあ、どう書きますか。
正答率は56.7%、無回答は9.5%でした。難しい問題で、元新聞記者でありながら3回も問題文を読み直さなくては理解できない内容でした。それを6割近くの小学生ができたなんて立派じゃんと言ってはいけないのでしょうか。1割近くが答えられなかったことも含めて、「困ったこっちゃ」と眉間に皺を寄せる場面なのでしょうか。
文科省のサイトに出ていた解説を見たら、別の意味で眉間の皺が深くなりました。
「目的や意図に応じて、理由を明確にしながら、自分の考えが伝わるように書き表し方を工夫することに課題がある」
そもそもこの問題は「自分の考え」を書くように求めていたのでしょうか。設問設計者の意図に沿って、一定の条件付きで書くことが「自分の考え」なのでしょうか。
疑問が消えないため、指導の助言も響きません。
「自分の考えが伝わるように書くためには、目的や意図に応じて、詳しく書く必要のある場合や簡単に書いた方が効果的である場合を、自ら判断して書くことができるように指導することが大切である」
「自分の考え」とは何でしょうか。(マツミナ)