idematsu-qのブログ

屋根のない学校をつくろう

「できない」の分岐点

f:id:Question-lab:20210520195338j:plain

朝靄の中で(マツミナ)

 「質問力を磨く(ClassQ)」で、学生は授業終わりにリフレクションシートを書きます。ふりかえりを書くことで、何を学んだか、学ばなかったかがわかります。リフレクションシートはA4サイズで、9割の分量を書き、授業後30分以内に提出するよう求めています。締め切り厳守。時間にルーズな学生が目につくためです。時間を守れないことは、社会人として致命傷。締め切りから逆算して行動することを身につけてほしいと考えています。

 文章を書く経験の乏しい学生にとっては至難のワザで、最初は苦労します。大半は「できない」と悲鳴をあげます。けれども「できない」は分岐点、その後なぜか対応が分かれます。できないことを環境や相手のせいにするか、自分で工夫するかの概ね二つです。

 

 先日、2年生からメールが来ました。「授業時間内にリフレクションシートを書く時間を設けるか、締め切りを遅らせてほしい」という内容でした。これは典型的な前者です。できないのは環境や条件に問題があるから。だからそちらを変えればいいと考えたのでしょう。

 もちろん、後者、自分が変わるを選択する学生もいます。やはりリフレクションシートに苦戦していた1年生が相談してきました。そこで先輩に聞いてみたらどうだろう、と返しました。その次の授業で、この学生は終了後わずか5分後に提出してきました。「授業中丹念にメモをとって、書くポイントをあらかじめ決めておく」と先輩に伝授してもらったのだそうです。書けたら終わりではなかったようです。慌てて書いたために字が汚く、誤字もあった、内容も深まっていないから、もっと工夫をしなくてはいけない、と新たな課題を見つけていました。

 

 昨日、久々の対面授業でした。終了まで15分というところで、リフレクションシートを控え室に忘れてきたことに気づきました。仲間の先生に取りに行ってもらう一方で、学生にはノートに下書きして後は写すだけにしておきなさい、と指示しました。すると、教室の一角で、リフレクションシートに書き込んでいる学生たちが数人いることに気づきました。リフレクションシートはデータで学生に渡していたので、事前にプリントアウトしていたのです。中には、50枚もプリントアウトして持ち歩いている学生もいました。「考える先生」に参加している学生でした。「すぐにリフレクションシートを書けるように」。学校の教育現場を毎週見ている中で、事前準備の大切さを痛感していたようです。

 「できない」の分岐点の先をどう歩いていくか。楽しみです。(マツミナ)