idematsu-qのブログ

屋根のない学校をつくろう

むつ市民になりきって、中間貯蔵施設の共同利用案を考える

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学生たちと一緒に頭をひねるイデちゃん(写真右、マツミナ撮影)


 

   1219日、帝京大学八王子キャンパスで開かれた2回目の対面マラソンQに参加しました。今日は、青森県むつ市に建設中の使用済み核燃料の中間貯蔵施設を共同利用したいと、電気事業連合会むつ市に伝えたのに対し、市長が反発しているという読売新聞記事が教材です。これを「むつ市民になりきって」考えました。

 「自分以外の誰かになりきって」考えるということは結構難しいことです。私たちのグループは「乳幼児を持つ母親」になって質問を作りました。文献資料や議会議事録等をもとに議論を重ね、最終的には「むつ市民」全体に関わる問題と考え、「どうする?むつ市の未来」というタイトルをつけ、次の3点の質問にまとめました。

 

1  業者と市と市民の関係はどうなっているのか

2 「中間」と言っているが、その先の見積もりはあるのか

3  むつ市の将来についてどう考えているのか

 

 市民の最大の疑問と不安は「『中間貯蔵』と言っているが、『最終貯蔵施設』にされてしまうのではないか」「そうなったら、むつ市の未来はどうなるのか」ということにあるだろうと考えたのです。

 昼食を取る間もなく大学図書館を駆けずり回って文献を探し、調べ、話し合い、質問を整理しました。私はA君が見つけてくれた「核廃棄物と熟議民主主義」という本に興味を持ちました。原発の稼働とともに増えつづける使用済み核燃料の処理という難問にどう取り組むのか。原発推進国カナダにおける「国民協議」を検証したものです。

 記述の中の「政策の熟議においては現在と将来の人々を包摂することを合理的だとする道徳性」が求められ、「熟議民主主義の理念」として「相互理解と然るべき情報に基づく合意の促進」「対話の過程への参加者は強制や操作、そして取引や賄賂からは無縁」「より良質な言論という暴力なき力」が奏功するという指摘に目が止まりました。

ところで、経産相は、中間貯蔵施設の共同利用については国も地元との協議に参加していくという姿勢を示しています。相手は歳入の多くを電源立地地域対策交付金等の電源三法交付金に頼らざるを得ない財政基盤の脆弱な自治体です。相撲で言えば横綱と序の口の取組のようなものです。現在と将来の人々の生活を包摂するこの難題で、国はむつ市との間でどのような合意を目指そうとしているのでしょう。

今回の記事を「経産相になりきって」考えたら、見えてくるかもしれません。(イデちゃん)

 

*ジュヌヴィエーヴ・フジ・ジョンソン「核廃棄物と熟議民主主義」新泉社(2011)