idematsu-qのブログ

屋根のない学校をつくろう

「効率」が質問を封じる

 

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霜柱を見ると、今も一歩踏み出してしまう(撮影・マツミナ)


 今朝、今年初めての霜柱を見つけました。踏んだ時のシャリっという音と感触が好きで、小さい頃からこの時期を楽しみにしていました。ただ、踏んだ後の靴の裏がいけない。泥がついて道路を汚すし、歩きにくい。なんとか靴に泥をつけずに踏む方法はないか、ついた泥をすぐさま取り除く方法はないか。子どもの頃のこと、「効率」なんてことは考えず、ずいぶん頭をひねり、実験したものでした。

 

 「質問力を磨く」は、企業人相手の授業としても開講しています。上智大学が今年秋から始めた「プロフェッショナル・スタディーズ」の一コマで、2週間に1回、仕事帰りの男性18人と質問づくりをしています。複数の部下を抱える方々ばかり。そこで問題になるのが「効率」です。

 ふだんは、早く結論を出すための論理をつくり、答えを補強する参考資料を見つけるという逆算方式を取っているとか。「質問力を磨く」のように「自分以外の誰かになりきって」新聞記事を読んで質問を出す、自分の仮説を覆すような参考文献も含めてたくさんの資料を読む――などといったプロセスは入る余地がなかったそうです。

 ところがそうしたプロセスを繰り返すうち、「答えを焦らず、たくさんの質問を抱えたまま一度立ち止まってみると、新しい発想が見えてくる」という人が増えてきました。「授業中は、ふだんと違う頭の使い方をしている感じ。終わる頃には、頭がスッキリする」と語る人も。いずれにしろ「効率」が質問を封じ、かえって頭の動きを阻害していたのかもしれません。

 

 靴の裏を汚さずに霜柱を踏む方法は見つかったでしょうか。さてどうでしたか。時間をたくさん使ったら、いいアイデアが浮かぶとは言い切れないけれど、霜柱を見るたびに、今も楽しくなることだけは確かです。(マツミナ)