idematsu-qのブログ

屋根のない学校をつくろう

スマホとラッダイト運動

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春まだ遠い白馬槍を望む。丸い玉ねぎ頭は長野五輪会場になったオーバルホール(イデちゃん)

  スマホを使っている時間が1週間平均8時間、1日14時間なんて時も。Twitter、LINE、YouTube音楽、ゲーム…、食事や入浴、睡眠時間以外はスマホですか。「主従逆転」も極まったという感じです。こりゃあ一億総白痴化間違いなし」だと空の上から嘆息している人がいることでしょう。

 

一億総白痴化 」といっても知らない人の方が多くなってしまったでしょうね。戦後十数年たち、日本にテレビが普及し始めた頃のことです。「テレビに至っては、紙芝居同様、否紙芝居以下の白痴番組が毎日ずらりと列んでいる。ラジオ、テレビという最も進歩したマスコミ機関によって『一億白痴化運動』が展開されていると言って好い」という社会評論家大宅壮一の発言が注目を集めました。(Wikipedia:「週刊東京」1957年2月2日号)「テレビばかり見ていると人間の想像力や思考力を低下させてしまう」という指摘です。その後「一億総白痴化」という表現で、退廃的な文化や生活に対する批判に使われるようになりました。

 

「テレビ」を「スマホ」に置き換えてみましょう。「スマホに至っては、・・・LINEだ、YouTubeだのがずらりと列んでいる。スマホという最も進歩した通信機器によって『一億白痴化運動』が展開されていると言って好い」と。当てはまりそうですね。

 

19世紀初頭にイギリスで起こった「ラッダイト運動」と呼ばれる社会運動がありました。社会科の教科書に「産業革命当時、機械使用の普及により、それまで手作業で織物を作っていた手工業者・労働者たちが失業を恐れ、機械を破壊した」とありました。

一億総白痴化」が危惧されるスマホの「打ちこわし運動」はなぜ起きないのでしょうか。

 

かつて、テレビで「ハレンチ学園」や「8時だよ、全員集合」等が「俗悪番組」と問題になり、PTA等が中心になって「見せない・見ない」運動が展開されたことがありました。コンピュータ・ゲームも槍玉に上がりました。「1日1時間」とか「宿題終わったら」といった「自主的なルール」を子供に作らせようと大人からの働きかけもありました。でもテレビやゲーム機を打ち壊すような社会運動は起きませんでした。スマホも同じです。せいぜい「正しいスマホの使い方」とか、「使いすぎない」などの約束が作られるのが関の山です。

 

 何年か前にある会合で「間違ったスマホの使い方」が議論になりました。「メールに悪口を書く」「長時間使う」など、日頃問題になっていることが出される中で、ある人が言いました。「スマホで釘を打つ、スプーンの代わりに使う」って。さて、間違っているのはどちらでしょう。ついでに「ラッダイト運動」が起きない理由も考えてください。

 

 ところで、官僚の書いた知識基盤社会の到来を告げる答申には「宇宙からの侵略が始まっている。スマホは地球征服の秘密兵器だ。地球人をスマホで白痴化して隷属させようとしている。AIはそのための先兵だ」と書いてなかったっけ。(イデちゃん)