idematsu-qのブログ

屋根のない学校をつくろう

社会の風が学生を変える

 

f:id:Question-lab:20210503181844j:plain

添削の後はスイーツ(マツミナ)

 授業後に学生たちが書く「リフレクションシート」を見るたびに、時代を感じます。「読み手への配慮」が年々、薄れているような気がします。自分の書いたものにみんなが「いいね」をしてくれると思っているのでしょうか。

 

 まず字が汚い。行の下半分に小さくて薄く、乱暴な字を書き連ねています。

 ノートがわりのメモも散見されます。リフレクションシートで狙っているのは、自分の気づきを表現することです。手を使って文字を書けば、何を学んだか、学ばなかったか、わかるはずです。適切な言葉を選び出して使い、論理的に書こうとすれば、文章のトレーニングになります。だから、A4サイズのリフレクションシートの9割は書きなさい、と伝えているのですが、2、3行で終わらせる学生もいます。名前すら書いていない学生もいます。

 オンライン授業になっているため、リフレクションシートは書いた後、写真に撮って送るよう伝えています。小さくて薄い字だけでも相当読みづらいのに、真っ暗だったり、曲がっていたりすると、全く読めません。送る前に確認をしていないことがわかります。ひょっとしたら「自分が送ったものを先生が読むのは当たり前」と考えているのでしょうか。

 エントリーシートでこんな文字と文章を書いたら、読んでもらえないと学生は知っているでしょうか。そもそも小中学校や高校で、どんな指導を受けてきたのでしょうか。先生たちは何を添削していたのでしょうか。どこから手をつけたものか、頭を抱えてしまいます。

 

 そうした学生をしばしば、社会の風が変えてくれます。もう2年以上、「質問力を磨く(Class Q)」で学んでいる学生もその1人。今では、濃く大きく丁寧な文字で、わかりやすい文章を書けるようになりました。

 きっかけは、Class Qに参加しているある企業経営者からの「ダメ出し」でした。ある日、学生は何かの企画書を書き、経営者に読んでほしいと頼みました。それに対する経営者の回答は、

 

「読みたくない。字が汚いから」

 

 学校の先生にはおそらく言えないセリフでしょう。突き返されて初めて、学生は自分の書いたものを客観的に見ることができました。「読みたくない状態」だと知ったのです。 

 自分の書いたものを他人が読んでくれる。それは当たり前ではなく、ありがたいことです。みんなが「いいね」をしてくれるわけではないと知った時、学生は変わる機会を手にできます。(マツミナ)