idematsu-qのブログ

屋根のない学校をつくろう

 ある日、スイッチが入る。

 

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疲れていても、疲れていなくても甘味。薩摩名物のかるかん饅頭(マツミナ)

 高校生を対象にした1か月間の入学前ClassQは、先週で終わりました。今日は高校生が郵送してきた課題を添削するために学生が集まってくれました。毎週丁寧な添削をしてきた学生の誠実さは高校生に通じていて、課題と一緒にメッセージカードも入っています。あたたかい先輩たちが大学で待ってくれていること、先輩とつながりができたことへの感謝です。

 学生はとても丁寧な添削をしてくれます。今日も昼前には集まりましたが、終わったのは午後7時。高校生に具体的な助言しようとすると、時間がかかってしまうようです。自分がふだんの授業で何となく行っていることの意味をじっくりと考え直さなくてはいけなかったからです。

 例えば、社説を書き写す際に間違えた高校生が、消しゴムで消して直していました。見つけた学生が、「これっていけないんですよね~、先生」と尋ねてきました。

 そうね~、なんでだっけ。

 「えっと、それは…」。ノートをめくり、自分のメモをたどります。「間違えた箇所と、自分の学ぶ姿勢が関係しているって」。おお、メモしていたか。で、どう関係しているのかな。

 今日の添削をふりかえり、別の学生がこう書いていました。「(添削で)自分がいつもなんとなくやっていたことがよくわかる。取り組む目的を明確に理解せず、言われた通りやるということは、自ら考えず、鵜呑みにしているということだ」。じゃあ、どうしようか。

 

   「自己教育力」という言葉があるのですか。「自らの目標を設定」「目標に向かって自ら働きかけ」「自らの成長を不断に図ってい」く――。高度ですねえ。

 今、私の目の前にいる学生たちは、「どうやったら目標を立てられるんですか」と聞いてきます。目標を立てても、それに向かう行動を続けられません。今日も「どうしたら自分で立てた目標に向かって頑張ることができますか」と相談されました。

 それでも、何かのきっかけで気づきます。自分に問題があることを、問題を克服するために努力しなければいけないことも。焦りとも苛立ちともいえない思いが膨れ上がり、ある日、歩き始めます。今日の添削も十分に何かのきっかけたり得ますね。

 

 今しがた、学生から連絡がありました。第一志望の出版社に出したエントリーシートが通ったそうです。入学直後に私の授業に顔を出し始めた頃は、小さくて丸く薄い字を書く学生でした。いつも友達の後ろで、蚊の鳴くような声でこそこそ意見を言っていました。それがいつ、どの時点でスイッチが入ったのか不明ながら、字が変わりました。濃く、大きく、丁寧な文字を書くようになりました。さらに相手が誰でも、自分の意見を言えるようになりました。 

 学生に「自己教育力」はあります。でも自己教育力のスイッチはどこにあり、いつ、どうやって入るのかは不明です。わからないうちは、スイッチが入るその時を、気長に待つしかありませんね。(マツミナ)