idematsu-qのブログ

屋根のない学校をつくろう

粋な千代田区教委にお願い!

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絹雲湧く戸隠山(イデちゃん)

 

 先日、新聞にこんな記事が載っていました。

終戦直後の学制移行期のはざまで中学校を卒業できなかった人を対象とした東京都千代田区通信制中学校が、入学対象をより若い世代に広げ来年度の募集を始めている。生徒激減で存続の危機にひんする中『貴重な学ぶ場を残してほしい』という在校生や支援団体などからの要望を踏まえ、区教委は東日本唯一の通信制中学校の存続を図ることを決めた」(2021年11月6日付東京新聞

 

 通信制中学校を知っている人は少ないかもしれません。東京と大阪に1校ずつあるだけですから。通信制高校は勤労青少年が高校教育を受けることができるようにという目的で設置されましたが、通信制中学校は「旧制度の義務教育修了者(尋常小学校卒業又は国民学校初等科修了者)に新制度の中学校の学習を通信によって学んでもらうための教育機関」(都教委HP「公立中学校の通信教育課程」)として設置されたものです。

 

 東京都に1校ある千代田区立神田一橋中学校通信教育課程の平成4年度生徒募集案内によれば、出願資格は次のAまたはBのいずれかに該当するものとなっています。

A 次のすべての条件に該当する者 

① 昭和21年3月31日以前の尋常小学校卒業者及び 国民学校初等科修了者

② 高等学校に入学する資格のない者 

B 次のすべての条件に該当する者 

① 諸事情により中学校で十分に学べなかった者

② 令和4年4月1日現在、満65歳以上の者

③ 都内に在住または在勤している者 

④ 出願者Aに準ずる者

 

 Aの部分がこれまでの条件で、平成4年度生徒募集からBが新たに加えられました。入学資格を尋常小学校卒業や国民学校初等科の修了者に限っていたため対象者の高齢化が進み、沿革史を見ると、最近は入学者がいない年もあり存続が危ぶまれていました。新たに「諸事情により中学校で十分に学べなかった65歳以上の人」も出願できるようにしたことにより、生徒減で「お役御免」になりそうだった「貴重な学びの場」を失わずに済みそうです。条件Aをそのまま生かして、Bを加えて間口を広げた千代田区教委の粋な計いを喜んだ人も多いことでしょう。

 戦後の混乱期に学びの機会を失った人たちは少なくなりましたが、今日、さまざまな事情で学びを継続することが困難になり、学校から離れていく児童・生徒は増え続けています。そこで千代田区教委に無理を承知でお願いしたいことがあります。次は「諸事情により中学校で十分に学べなかった者」の年齢要件である「満65歳以上の者」という1行を削除していただけませんか。救済される人がたくさんいるはずです。ぜひお願いします。(イデちゃん)