idematsu-qのブログ

屋根のない学校をつくろう

電話に出られない新入社員

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実りの秋(マツミナ)


 先日、ある企業に電話をしました。その企業の部長に用事があったためです。

 呼び出し音が鳴り続け、ひょっとしたら今日は臨時休業か?と思い始めた頃、やっと誰か出てくれました。

 

 「はい…」

 

 蚊の鳴くような声で、社名も言いません。間違えたかと思いつつも社名を確認すると、「はい、そうです」とまたささやくような声で。こちらの名前を伝え、◯◯部長はいらっしゃいますかと尋ねると、支社に出かけていて不在だということを、これまた小さな声でボソボソと話します。支社の電話番号を尋ねて、やりとりは終わりました。その電話番号が誤っていたため、企業のホームページで調べ直すというおまけもついていました。

 

 「いやあ、申し訳ありません。不快な思いをさせて」

 やっと話せた○○部長によると、電話に出たのは研修中の新入社員でした。同社では数年前から電話を取れない新入社員が問題になっていたため、研修も兼ねて新入社員が交代で電話に出ることになっていたそうです。電話番号を誤ったのは、知らない人と話す緊張感もあったのかもしれません。

 オフィスにかかってきた電話を取れないという話は、よく耳にします。自分のスマホであれば、かけてきた相手が知っている人かどうか、ある程度わかります。何より、自分に用があってかけてくるわけだから、電話を取る必要性があります。これに対して、オフィスで鳴る電話の向こうにいる相手は、誰かわかりません。しかも、自分あてではないかもしれないから、電話を取る必要性もさほどありません。こうなれば、電話をとるまでの時間が長くかかっても不思議ではないし、蚊の鳴くような声で恐る恐る出てくる理由もわからないではありません。

 

 経団連が会員企業を対象に新卒採用にあたって最も重視したことを尋ねたところ、「コミュニケーション能力」が82.4%で1位でした。1997年の調査開始以来、不動のトップです。続く主体性(64.3%)、チャレンジ精神(48.9%)を大きく引き離していました(2018年度調査、複数回答)。

 コミュニケーション能力を重視し続ける企業側と、電話に出られない新入社員が問題化している現状は、何を意味しているのでしょうか。(マツミナ)