idematsu-qのブログ

屋根のない学校をつくろう

切り分ける

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「名刀村正」並みの切れ味で、チャイルドシートもこの通り。下のベンチまで切っちゃった(イデちゃん)



 今日は大物に挑戦しました。孫たちが大きくなり使わなくなったチャイルドシートです。安全基準を満たすために大変頑丈に作られており、簡単には解体できそうもない代物です。そこで活躍したのが電動ドライバー。小さいけれどなかなかの優れもので、溝の形や大きさに合わせてヘッドを交換すれば、固く締まったネジやボルトを難なく抜き取ることができます。数え切れないほどの金属部品を取り外したら、今度は子供をすっぽりと受け止めるシート部分です。表面を覆っているパッドをめくるとプラスチックのフレームが出てきました。一体形成されたフレームは裏側が立体的に補強されており、その頑丈さには驚きましたが、子供の命を守る安全基準からすれば当然のことです。そこでチョー役に立ったのが「何でも切れる万能鋸」です。これは重宝な道具で「名刀村正」並み?の切れ味は、硬いプラスチックも取り残した金属板も一緒にバッサリ切り落とすほどでした。こうして大きなチャイルド・シートは小さく切り分けられ、不燃物ゴミ用の袋三つに収まってしまいました。

 世の中の厄介な代物をバッサリ切り落として、あっさり片付けることができたらどんなに気分がいいことでしょう。誰かさんに、「浮世の義理と人情はそんなに簡単に切れるものじゃござんせんよ」って言われそうだけど。

 

 先日の「職種の研究」で、学生たちが「質問する手間を省いたのでは」とミナさんは見ていますが、私はこう考えました。学生たちが担当する職業について一通りの情報を集めはしたけれど、それを列挙しただけで掘り下げることをしなかったのは「質問が増えれば、調べることも増えて、収拾がつかなくなり、締め切りに間に合わないかもしれないから」だけではないでしょう。もしかしたら、彼らが身につけてきた「調べる」という作業は、「知る」というレベルに止まっていて、「考える」という知的作業の起点にまで高められていないのかも知れません。

 情報を集めることはそんなに難しいことではありません。しかし、多くの情報を並べ替えたり組み立て直したりすることは結構厄介な作業です。断片的な情報やマニアックな情報をかき集めて物知りになっても、それだけでは課題を解決するための力にはなりません。ミナさんが言うように「質問を武器にして……現実を浮き彫りに」するためには集めた情報を分析し、新たな疑問や不足する情報を整理する必要があります。それを支えるのが「質問力」です。

 

 「切り分ける」とは分析するという意味もあります。膨大な情報を切り分け、必要な物を取り出して再編する力が求められます。全体を眺め部分を見て、分からないことは尋ね、調べ、掘り下げ、広げて自分の考えをまとめていく力こそAIと共生する時代に必要な能力です。質問力を磨きましょう。(イデちゃん)