idematsu-qのブログ

屋根のない学校をつくろう

夢を否定する親

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子どもの日のアップルパイ。これを「等分」するの?(マツミナ)

 連休中にもかかわらず、学生たちが授業動画を見て、リフレクションシートを書いてきます。リフレクションシートは手書きで、スキャンしてメールに添付してきます。

 手間がかかっても連休中に送ってくるのだから、意欲がある証拠。こちらも本気で読んで返します。リフレクションシートの中身はもちろん、メールの書き方についても注意します。新規の履修者は、ほぼ例外なく「件名」「宛名」「自分の名前」を書いてきません。本文すら書かず、リフレクションシートだけを添付してくる学生もいます。仲間内でのLINEと同じ感覚なのでしょうか。メールをしたことがなく、アドレスだけで自分だとわかってもらえると錯覚しているのかもしれません。

 そうした学生には、メールの書き方を明記して送信します。すると相変わらず「件名」「宛名」「自分の名前」も書かないまま、「わかりました」とだけ返信してくる学生もいます。ちゃんとメールを読んでいるのかしら…。

 

 そんな学生でも夢が見えてくると、行動が変わります。例えば、Class Qのゼミにいる学生は防衛問題に関心を持ち、卒論のテーマに据え、卒業後もこのテーマを考え続けたいという夢を持っています。その思いが、学生の読書量を押し上げました。「本を読んだことがない」と明かしていたのに、「敗北を抱きしめて」(ジョン・ダワー、岩波書店)の上下巻を短期間で読破。「日本の戦後の状況を初めて知りました。涙が出ました」と読後感を語っていました。「閉ざされた言語空間」(江藤淳、文春文庫)、「アメリカの世紀と日本」(ケネス・B・パイル、みすず書房)など難しい内容の本もバイト代を充てて購入し、読了しました。いずれも要約をノートにまとめながらの読書です。変われば変わるものです。

 

 ところが、その夢の前に立ちはだかるものがあります。その一つが親です。

 ある学生は子どもの頃から夢見ている職業があります。東日本大震災での活躍ぶりを報道で目にし、強く憧れたのだそうです。先日、その夢が親に知られてしまい、強く反対されて途方に暮れていました。

 事情は知らなかったけれど、芯のある学生だと感じていました。授業の過程で新聞を読めるようになり、課題に取り組む頻度が徐々に上がっています。書く文字や文章も改善されてきています。「国民を守れる人になりたい」とけれんみもなく言える姿は立派です。そういう思いと夢に向かって頑張っている姿を、いつか親が理解してくれればいいなと願うばかりです。

 今日は子どもの日です。15歳未満の子どもの人数は過去最少の1493万人。1493万個の夢の行方が気になります。(マツミナ)