idematsu-qのブログ

屋根のない学校をつくろう

議論から逃げるな

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議論の後のスイーツは格別です(マツミナ)

 「才能がない」という嘆き言葉は、学びからの逃げ口上にぴったりです。「努力してもできない」と自分の努力不足を正当化するのに、これほどうってつけのものはないかもしれません。何をどのぐらい「努力」したのか不問に伏すことも許してくれる便利な言葉です。自分の足跡を見返せばいくらでもやり直しができるのに、「才能がないから」で終わらせている学生が目につきます。くやしいことに。

 

 「才能」だけでなく、「相手を否定しない」も逃げ口上として使われているかもしれません。議論と「相手を否定する」を混同しているのです。その結果、議論を恐れ、逃げるようになっている学生が少なからずいます。根拠を持って発言し、ぶつかり合うことで磨かれる好機を逸してしまうのです。

 先日、ある学生が私に議論を挑んできました。国際条約と日本の憲法、どちらを優先させるべきかと。その日の教材は、2021年6月18日付読売新聞「太平洋会議 マグロ漁獲枠増 提案へ 政府調整 資源回復強調」(東京14版)。遠洋漁業の乗組員になりきると、この記事からどのような問いが立てられるか。発問するにはまず国際会議の設置根拠となる条約の読み込みが必要でした。議論は、そこから発展したのです。

 戦後、長い年月をかけて議論されている大問題です。簡単に結論が出る話ではありません。でも学生は真剣な表情です。相手が誰であろうと、同じぐらいの熱量で臨むのが議論のお作法と心得ていますので、こちらも容赦はしません。その様子を傍らで見ていた学生のリフレクションシートを読んで驚きました。

 「いろいろな考え方があっていい、人の考えを否定してはいけないと学んできました。私はその考えに賛成です。でも今回の授業は違っていました」。学生の主張と真っ向からぶつかる先生はヒドイ、というのです。

 

 議論を厭うのは、学生だけではないでしょう。でも流れは変わっていくかもしれません。

 東芝株主総会で、取締役会議長の再任案が否決されました。新聞各紙は「異常事態」と表現していました。物言う株主(アクティビスト)以外の株主もノーを突きつけたようです。このニュースを、議論を厭う学生たちはどう受け止めたでしょうか。(マツミナ)