休校期間と学力は関係ないというけれど
全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)が行われ、その結果が公表されました。ミナさんが「目的や意図に応じて、理由を明確にしながら、自分の考えが伝わるように書き表し方を工夫することに課題がある」という文科省の解説について、「そもそもこの問題は「自分の考え」を書くように求めていたのでしょうか。設問設計者の意図に沿って、一定の条件付きで書くことが『自分の考え』なのでしょうか」と疑問を提起しています。
小学校学習指導要領国語科によれば「思考力・判断力・表現力等」に関する5・6年生の学年目標を「筋道立てて考える力や豊かに感じたり想像したりする力を養い、日常生活における人との関わりの中で伝え合う力を高め、自分の思いや考えを広げることができるようにする」としています。
今回の調査問題はこのことを踏まえて出題されたと思われますが、出題の意図は「自分の考え」を求めたのではなく、求められる手順に従った「書き表し方」かどうかを調べることにあったとすれば、当然「書き表し方を工夫することに課題がある」という説明になるのでしょうね。採点しようがない「自分の考え」など初めから求めていないということかも知れません。
私が気になったのは「休校期間と成績は全体で見て相関がなかった」という解説です。単純に考えれば「休校中に学校で学習できなかった内容は自宅学習やその後の補習等で補うことができた」と理解できますが、意地悪な見方をすれば「自宅学習や補習で補うことができる程度の学力」を調査したということになりませんか。
そもそも、学力調査で調べることができる「学力」は「知識・理解」などの数値化が可能な能力(いわゆる認知能力)であって、「意欲」とか「考え方」とか「コミュニケーション力」といった数値化が難しい能力(非認知能力と呼ばれている)を測ることは困難です。コロナ禍による影響はむしろこうした部分に強く現れることを考えれば「影響ない」と片付けないで、より慎重な分析をして欲しいと思います。(イデちゃん)