劣化のツケは誰が負うのか
自民党総裁選が終わり、下馬評通りの結果になりました。「モリ・カケ・サクラ」問題があろうが、安倍前首相が強かったということでしょうか。河野氏のパワハラ疑惑が祟ったということでしょうか。菅首相が後継指名した候補者が落ちたということは何を意味するのでしょうか。自らが退いて推した候補が落ちたということは、石破さんの人気はこんなもの、ということでしょうか。さまざまな読み方ができる結果です。いずれにせよ、驚くべき結果ではありませんでした。
これに対し、昨日イデちゃんが書いていた筆記試験も面接もなしでの教員採用は、驚くべきことです。ずいぶん前に報道されていたのですね。うっかり見逃しておりました。
「福岡市は公立小中学校などの教員採用で、筆記試験と面接を省く新たな採用方式を2022年から導入する。代わりに教育実習の評価と大学の推薦だけで採否を決める方式は全国でも異例。教員のなり手不足を背景に、適性のある学生を確保する狙いがあるが、専門家は学生を評価する基準のあり方を課題に挙げる」(2021年4月18日朝日新聞デジタル)
今の採用試験が「教員の質」を保証しているかどうかは、意見の分かれるところでしょう。ただ、教育実習の評価と大学の推薦だけで採用するかどうかを決めるとなったら、現状の「質」すら担保することは難しいかもしれません。
そもそも、教員養成の現状に問題があると見たからこそ、今年3月、文部科学大臣は中央教育審議会に教職課程の見直しを諮問したはずです。答申も出ないうち、つまり問題のある現行の教職課程で育った教員でいいとするわけですから、相当な危うさを覚悟して採用を決めるということです。
報道によると、推薦は県内15大学に限定しているそうです。なぜ県内限定なのでしょうか。それとも、問題教員だった場合、出身大学に文句を言いに行けばいいやということでしょうか。
もし、問題教員だったら、出身大学に文句をつけることが前提であるのなら、まだ救いようがあるように思います。製造物責任を問われるのは、大学にとってはいい学びの機会になります。教育を見直すことを迫られるからです。
では、そんな教員を押し付けられる子どもたちにとって、いい学びの機会になるのでしょうか。心配なのはその点です。
劣化のツケは、劣化させた当事者たちだけが負うわけではない。これは恐ろしい現実です。(マツミナ)