idematsu-qのブログ

屋根のない学校をつくろう

エヴァンゲリオンと「パターン思考」 …ネタバレなしです!

 

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 緊急事態宣言の解除を待って、行ってきました!「シン・エヴァンゲリオン」。

 書きたいことがいっぱいありますが、ネタバレなんて無粋な真似はしてはいけませんね。ご安心ください。

 でも、このぐらいはいいかな。作品の特徴の一つは「観客の予想を裏切る」でしょうね。今でも鮮明に覚えているのは、劇場版2作目に登場した2つの殺戮シーンです。主人公が、主人公にとって大切な人と命のやりとりをせざるを得なくなった場面に流れていた音楽はなんと、「今日の日はさようなら」「翼をください」。

 ♪いつまでもたえることなくともだちでいよう…。

 小学校や中学校の卒業式で流れていそうなさわやかな曲調と、スクリーンに広がる痛々しい戦闘場面のギャップに唖然としました。次の瞬間、参りましたと頭を下げたくなりました。私はいつのまにか、こういう場面にはこういう曲、と頭の中でパターンを作り、待っていたのです。あれほど学生に「パターン思考」を戒めていたのに。

 

 パターン思考は、善意から生まれることもあるようです。最近読んだ「保育園に通えない子どもたち」*で再確認しました。貧困や虐待、障害など、社会の支援が必要な子どもが保育園や幼稚園に通えていない実態があることを指摘している力作です。著者のインタビューに答え、子どもの支援にあたる団体の方が答えていたことに、首を傾げてしまいました。

 保健・医療・福祉職の従事者が、外国人に対応できていないと前置きしたうえで、「そのために、医師、看護師、助産師、保健師、保育士の養成課程に、外国人対応のカリキュラムが必要だと思います」と話していました。

 子どもの幸せをみんなで守ることに異論は全くありません。でも、この方法論で効果を期待するのはかなり難しいでしょう。国家資格につながる課程は必修でアップアップです。大学設置基準の規定通りに1単位に求められる学習時間をとっていたら、学生は食事や睡眠時間すらろくにとれなくなります。カリキュラをこなすことに精一杯の人が、予期せぬことが次々に起こる現実に、臨機応変に対応することができるのでしょうか。

 こうして、大学のカリキュラムは膨らんできたのでしょうか。「こういう力が必要だ→カリキュラムに練り込め」というパターン思考の中で。科目が増えて、1日も48時間にのびたらいいのですが、そうもいきません。

 

 それにしてもエヴァンゲリオンは…。ご覧になったことのない方は、これまでの作品をぜひ見て、劇場にお出かけください。あの作品を語り合いましょう。(マツミナ)

 

*「保育園に通えない子どもたち――『無園児』という闇」(可知悠子著、ちくま新書