idematsu-qのブログ

屋根のない学校をつくろう

大学を選ぶ、先生を選ぶ

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ドイツアヤメ 存在感あるね(イデちゃん)

 コロナ禍のなかで、学生が大学を選ぶ視点が変わった。大学が学生とどう向き合ってくれるかを、受験生は冷静にみていたと思う。実家を離れて都市部などに単身で行く学生もいるわけだから、不安にどう寄り添ってくれるかは重要だ。たとえば地方出身の学生が多いからと、食券を配って、朝昼晩、学食にいつでも食べにきていいという取り組みをしている私学があり、ここは学生の満足度がすごく高い。食堂にアクリル板を一人ずつ置いて、食事の後は自習してもいい、という取り組みをしている大学もある。そういうところに学生は安心感を持つと思う」(萩生田文科大臣)『大学ランキング2022』

 

 コロナ禍で大学に行くことができず、自宅等でオンライン授業を受けざるを得ない学生が悲鳴をあげています。学校に行きたい、友達に会いたい、サークル活動やイベントに参加したい。高い授業料を払っているのだから授業をやってほしい。

 どれも切実な声です。大学とは無縁の老人でも何とかならないものか心が痛みます。そういう気持ちで文科大臣のインタビュー記事を読めば、上の発言もわからないわけではありませんが、「大学ランキング」と銘打った雑誌に載せる内容かどうかは疑問です。「コロナ禍のなかで、学生が大学を選ぶ視点が変わった」先にあるのが「食券を配って、朝昼晩、学食にいつでも食べにきていいという取り組みをしている」大学というのでは、あまりにも寂しくありませんか。

 

 福岡市教育委員会は、今の方式では適性のある学生を十分採用できないとの考えから、筆記試験と面接を課さない特別選考の導入を決めたと朝日新聞デジタル4/18が報じていました。

 記事によれば、これまでは1次で教養などの筆記試験、2次で面接と模擬授業を行い、採否を決めていました。今後は、教育実習の評価と大学推薦で採否を決めるとしています。

 

 筆記試験に向けて過去問を解きまくり、法令等を丸暗記し、模範論文を頭に叩き込み、面接試験用にお辞儀の仕方や発言の仕方まで特訓を受けてきた受験者からは、個性も良さも悪さも見えなくなってしまいます。みんな同じようにお辞儀する、画一化された姿にうんざりするだけで、少しも魅力を感じません。学生の適性を確かめることができないという指摘はわかるような気がします。

 

 でも、問題がないわけではありません。教育実習の仕組みを抜本的に見直し、内容と評価基準は市教委が一律で定める。その上で受け入れ先の校長が学生の指導力や協調性などを評価するようですが、どんな評価基準を定めるのでしょうか。 

 「期待される教師像」や「望ましい教師像」のようなものを定めて、教育実習中にその可能性や到達度を測るような評価基準は、学生を型にはめることになりかねません。「標準モデル」を物差しにして教師の適性を測るようなことはしないほうがいいと思います。

 

「考える先生」プロジェクトは予め用意した「考える先生像」に近づけるために教えたり働きかけたりすることではないと言ったのはそういうことなのです。(イデちゃん)