採用試験のレベルを下げろ!?
「採用試験のレベルを下げろ。教員採用倍率の低下が止まらない。文科省が公表した調査結果によれば、2019年度教員採用試験の倍率が全国平均で4.2倍、小学校では2.8倍にまで落ち込んだ。少人数学級の増加により教員の需要数は増える一方だ。このままでは教員の必要数が不足する。この際、採用試験を簡単にして誰でも教員になれるようにすべきだ」
こんな記事が新聞に載ったらどうしますか。「とんでもない。教員の質の確保のために採用試験を簡単にすることはできない」と憤慨する人が多いことを祈るのですが、すでに教員需要の増加を見越して「教員免許がなくても一定の経験があればいい」とか「簡単な面接で誰でもなれるようにして、必要なら現職研修を強化すればいい」とか言った意見がちらほら聞こえてきています。
「採用試験の質を上げたい」と考えるのは当然の理です。いい新人をほしいと願うのはどこの企業も官庁も同じで、人事担当者は「質の確保」のために知恵を絞るものだと思っていたのですが、ミナさんのお話からすると違うようですね。まさか「個性」だの「独創性」だのと言った厄介なことを調べるのは面倒だから、みんなまとめて適性検査をやって、適性ないのは落とせばいいと思っているのではないでしょうね。何やらお寒い話もあるようです。
教員採用試験の台所事情もお寒いようで、「新年度に学級担任がいない」などという学校が生まれてしまうような「みっともないこと」にならないようにするために、とにかく受験者を増やして一人でも多く採用しなければならないという現実を前にしたら「このままでは教員の必要数が不足する。この際、採用試験を簡単にして誰でも教員になれるようにすべきだ」という主張が新聞に載る日が来ないとも限りません。教員不足を逆手にとって「簡単な面接で誰でもなれる」ようにしたら、そのつけは子供たちに回されることになるでしょう。
全国の教員養成系大学、学部・学科で学生を教えている先生方にお尋ねします。これだけ採用倍率が下がれば採用試験に受かるための勉強にあくせくしなくてもいいのではありませんか。それより「一方的な講義ではなく、学生自らが考え、対話ができる授業」にたっぷり時間を使い、「社会で実践できる教養を身につけ」させてください。大学の授業の質が採用試験の質を決めるくらいの気概を持って。心ある人事担当者もそれを期待していると思います。(イデちゃん)