idematsu-qのブログ

屋根のない学校をつくろう

なぜ開催するのか

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チームワークの成果物は、学生の現状を伝えてくれる(マツミナ)

 今日はテレビの前で思わず拍手してしまいました。衆議院厚生労働委員会での尾身茂会長のコメントです。

 「今のパンデミックの状況で開催するのは普通はない」

 「なぜ開催するのかが明確になって初めて、市民は『それならこの特別な状況を乗り越えよう。協力しよう』という気になる。関係者がしっかりしたビジョンと理由を述べることが極めて重要だ」(NHKニュースから)

 

 なぜ開催するのか。狙いや目的は、オリンピック・パラリンピックでなくても、とても重要です。「質問力を磨く(Class Q)」の学生たちを見るたびに実感します。この授業は課題が多く、毎週チームワークで発表もしなくてはいけません。手間がやたらとかかるのです。なぜ学ぶのか、それぞれの目的意識の濃淡が、課題にはっきりと出てきます。

 

 本日の授業ではイスラエルパレスチナ問題に取り組みました。記事は、停戦後にガザ地区に入った読売新聞記者の現地ルポを使いました。立場はイスラエルガリトさんと、パレスチナのメルヴェトさん。実在の人物です。ベルギー人のライターが2人をつなぎ、文通が始まりました。そのやりとりは「友だちになれたら、きっと」(鈴木出版)にまとめられています。

 初版が出されたのは2007年。ガリトさんもメルヴェトさんも今は40代で子どものいる母親になっています。その2人がこの記事を読んだら、どんな質問が出てくるでしょうか。かなりハードルの高い課題となりました。

 

 1週間かけて取り組んだ課題からは、どんなチームワークをしてきたのかが見えてきます。「愛」「幸せ」というふわふわした言葉でまとめたチームがある一方で、資料を読み込んだうえで「共存」「和平」の定義を明示してイスラエルパレスチナの未来を考えたチームもありました。「質問する力をつけたい」「資料を読む力をつけたい」「変わりたい」など、何らかの「なぜ学ぶのか」を持っているメンバーがチームになると、深掘りしようとする質問を作るようです。

 そうしたメンバー同士がチームを組むことで、さらに変化がもたらされます。今日の授業をこう振り返っている学生がいました。

 「調べることが学びになっている自覚があるし、調べて知っていくだけ楽しくなっていく。せっかく楽しくなっていくから、(授業の)課題が変わっても、調べ続けて学びたい」

 なぜ学ぶのか、なぜ課題に取り組むのか。未来に向けた誠実な姿勢は、新たなエネルギーにつながります。

 

 なぜ開催するのか。未来に向けた誠実な思いがあるのなら、語っていただきたいものです。(マツミナ)