idematsu-qのブログ

屋根のない学校をつくろう

議論の厚み

 

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 「質問力を磨く(ClassQ)」の学期末を飾るポスターセッションを開きました。テーマは再び職種の研究で、今回は「営業職」限定です。5、6人が1チームとなって、ITや食品、建設など協力企業8社のどこかを取材し、それぞれの特徴や課題を、模造紙一枚のポスターとして表現するという内容です。評価項目はあらかじめこちらで決めて、採点は各社にお任せしました。点数の多寡よりも、自分たちの課題を読み取るきっかけにしなさい。評価とはそう使うものだよと、学生に何度も伝えておきました。

 

 企業によって評価がわかれるだろうと予想していました。ラクタンの先生とそうでない先生がいるように。ところが実際は、同じ会社を取材した2チームが最高点(8点)と最低点(-12点)を記録しました=写真=。

 一体何が差を広げたのか。インタビューを受けた企業の社長や学生自身の話から、どうやらチーム内の議論の厚みが道を分けたようだとわかりました。

 8点チームは毎日1時間、必ず集まって議論をしたそうです。しっかり煮詰めた質問は「企業全体をつかみ、そこから営業の役割を見極めようとしていた」と社長が納得できる内容でした。そこでのやりとりがポスターに生かされています。同社で使われているヘルメットをモチーフに、あえて句読点を全て外した「詩」のような文章で、活気ある社内の空気感を出そうと工夫していました。

 一方の-12点チームは、正反対の道を歩いてしまいました。話し合いの時間も取れず、それぞれが気になっていることをバラバラに質問したようです。当然、社長は「この人たちは何を知りたいのだろう」「どういうポスターになるのやら」と首を傾げながらインタビューを受けました。

 このチームに限らず、点数の低いチームはどこも議論ができなかったようです。「議論は怖い」と尻込みする学生も少なくありません。「議論は勝ち負けではない。積み重ねなんだよ」と説明してくれた企業人もいました。

 

 大人もろくに議論をしていません。その結果、緊急事態宣言下でのオリンピックなんてマネをしているぐらいですから。でも、これは反面教師だからね、と声を大にして伝えていきます。(マツミナ)