idematsu-qのブログ

屋根のない学校をつくろう

オヤジの背中

 

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嬉しい時にはスイーツ(マツミナ)

 

 今日は嬉しい話です。春学期の「質問力を磨く(Class Q)」を履修していた学生が、秋学期の授業に戻ってきました。「この授業、厳しすぎる」「もう絶対履修しない」とさんざん毒づいていた学生だったのです。

 目が合うと、ちょっと照れたような表情で、聞きもしないのに、履修を決めた事情を話してくれました。勤務先の昇進試験に苦戦していた父親の姿が背中を押したのだそうです。

 父親はこの夏、昇進試験に臨んでいました。試験は、営業職の使命とは何か、現在のような社会で、何を誰にどう売るべきなのか、それによって企業と社会にどのように貢献するか…など、時代認識や会社との関係など仕事の根幹に関わるような内容を論じることだったといいます。

 その結果、父親はかなり厳しく上司に叱責されたのだそうです。「君は新聞を読んでいるのか、なぜこのような時代認識なのか」……。

 上司に叱責されたとしても、学生の父は立派です。それを家庭で、ひょっとしたら食卓で家族に話していたのですから。必死に努力した、けれども力を発揮しきれず、上司にお小言を食う結果になっている。それを包み隠さず家族に話し、さらにこうも言ったそうです。

 「新聞を読むのは、大事なんだよ。お前も新聞を読む授業を大学でとっていたからわかるだろう」

 お父さん、よくぞ新聞を読むことの大切さを伝えてくれました。そのほかにも書く力の重要性にも言及していたそうです。

 本日(9月24日付)の日経新聞に、求人情報の変化が報じられていました。不況期には労働者に求められるスキルが高度化するということです。ポストコロナ期で働くには、今よりも学び続ける姿勢が求められることでしょう。

 

 以来、父は欠かさず新聞を読み、時代感覚を培おうと机に向かっていると学生は話していました。その背中は、学生にたくさんのメッセージを伝えています。学生のリフレクションシートには、こう綴られていました。

 「サラーマンでも社会について興味を持たなければならないと感じた。(略)私はもっと社会を知る必要があると考えた。そのため履修することを決めた。秋学期もよろしくお願いします」

 こちらこそ、よろしく。今度、お父さんも一緒に、授業に来てください。大歓迎です。

(マツミナ)